こんにちは、SORESEKAこと「それは、世界遺産がきっかけだった。」編集長のMamiです。
今回は京都・嵐山にある日本画ミュージアム「福田美術館」と、ミュージアムカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」をご紹介します。
この記事はYahoo! JAPAN クリエイターズプログラムの一環で取材・執筆した記事(福田美術館 / パンとエスプレッソと福田美術館)を再構成してお届けします。
京都・嵐山にある日本画ミュージアム「福田美術館」
渡月橋から川沿いを歩いて約2分のところに、江戸時代から近代にかけての、主要な日本画家の作品コレクション約1,500点を有する福田美術館があります。
福田美術館では常設展はなく、年4回、心ときめく企画展が開催されています。
そして現在は、同じく嵐山にある嵯峨嵐山文華館との共同企画展「京のファンタジスタ 〜若冲と同世代の画家たち」が開催されています(2021年10月10日まで)。
この先には何が見えるの?作品鑑賞の前に、気になる外壁ガラスをご紹介
洗練された和モダンな建物。
入館手続きを済ませ、エントランスから展示室へと続く廊下には、何やら模様が入ったガラスが。
こちらは窓ではなく、外壁の役割を果たしている「外壁ガラス」で、伝統的な網代模様がプリントされています。
そして、外壁ガラスの先には…
大きな水盤があり、目の前を流れる大堰川に連なる水鏡のごとく輝いて、嵐山を映し出しています。
この網代模様プリントですが、景色を眺めやすいよう、天井や足元の部分は太く、目線の部分は細くなっています。
無料音声ガイドを活用して、作品鑑賞をより楽しもう
それでは、いよいよギャラリーへ。
無料音声ガイドも用意されているので、せっかくなら活用して、作品への理解をより深めたいところ。
設置されているQRコードから読み込んで、自分のスマートフォンとイヤホンで聞くこともできますし、無料で一式借りることもできます(デボジットとして、一旦1,000円支払いますが、返却時に返金されます)。
撮影OK!企画展「京のファンタジスタ 〜若冲と同世代の画家たち」
福田美術館には展示室が3部屋あります。
ギャラリー1
ギャラリー1では、伊藤若冲と与謝蕪村の作品が紹介されており、
- 同じ1716年に生まれる
- 20年間同じ京に住む
- 中国絵画を学ぶ
などの共通点がありながら、まったく異なる画風を追求した様子を見比べられます。
「伊藤若冲や与謝蕪村という名前は聞いたことがあるけれど、美術や絵画には詳しくないからな…」という方でも大丈夫。
福田美術館の展示方法の大きな特徴として「分かりやすさ」があり、
- ルビを振る
- 解説文が長すぎないようにする
- 各作品にオリジナルのキャッチコーピーをつける
- 専門用語をできるだけ使わない
などの工夫が凝らされているので、どんな方でも楽しみながら作品鑑賞できます。
たとえば、この作品のキャッチコピーは「かわいくはない若冲の仔犬」。
天才画家と称される若冲の作品をこんな風に表現するなんて、しかも「確かに…」と頷いてしまう妙な納得感があるから、くすっと笑えます。
この作品のキャッチコピーは「やれやれ舟は出せないな」。
思わず「お仕事ご苦労様です。早く晴れ間がのぞいて欲しいですね。」とでも声をかけたくなるほど。
こうしたオリジナルキャッチコピーは、福田美術館のスタッフ皆さんで捻り出しているそうです。
ギャラリー2
ギャラリー2では、
- 池大雅
- 円山応挙
- 曾我蕭白
- 長沢芦雪
- 呉春
など、若冲が生きた18世紀の京都・四条通り界隈で活躍した画家たちの作品が展示されています。
ここでは個人的に心惹かれた作品3点をご紹介します。
「風に揺れる蘭の葉や茎の表現が美しいな〜」と見入ってしまいました。
漢字の「竹」と「犬」を組み合わせると「笑」という字に似ていることから、「一笑図」とも呼ばれるそう。
垂れた耳に、つぶらな瞳が可愛らしい。
ニワトリの家族が描かれており、お母さんニワトリの後ろに雛が一匹隠れている様が可愛らしい。
福田美術館の展示室内のガラスケースは、ドイツのグラスバウハーン社に特注した92%という高い透過率のガラスが採用されているので、緻密に描きこまれた日本画の筆致をじっくり観察できます。
各作品にどんなオリジナルキャッチコピーが付いているのかも、是非チェックしてみて下さいね。
パノラマギャラリー
パノラマギャラリーでは、画家の「筆使い」の比較や、『平安人物志』をもとに、四条通り周辺に住んでいた画家たちの「住宅マップ」があったり。
斬新なのは「交友関係」の比較で、若冲や蕭白などが「誰と仲が良く、誰と仲が悪かったか」まとめられており、天才画家たちの人間くさい一面が垣間見れます。
(2021年10月23日からは、同じく嵯峨嵐山文華館との共同企画展で、「木島櫻谷展」が開催予定です。)
なお企画展を共同開催している嵯峨嵐山文華館へは、福田美術館から歩いて約3分ほど。
少しお得になる2館共通券もあるので、ぜひ両館で作品鑑賞を楽しんでみてください。
渡月橋を最も美しく一望できるカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」
福田美術館の館内には、ミュージアムカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」があります。
来館者のみが利用できるのですが、最大の魅力は、180度の広い眺望で渡月橋・大堰川・嵐山を楽しめる点。
美術館の廊下の外壁ガラスとは違い、網代模様がプリントされていないので、まるで絵画のような、うっとりする景色を堪能できます。
カフェの目の前には大きな水盤があるので、時に小鳥が水浴びにやってきて、風がやめば水盤は水鏡のように空を映し出します。
店舗内は4人掛けのテーブルが7卓と、1人掛け用の席が4席あります。
まずは席を確保してから、注文をします。
季節の福パフェや展示作品に関連したサラダも
メニューは軽食・スイーツ・ドリンクとありますが、今回はトップに「福」文字があしらわれた季節の福パフェ(1,000円)を。
現在は「さつまいもと紅茶」がテーマとなっており、美味しそうなクリームやペースト、ブリオッシュなどが重なっているので、どんなお味かワクワク。
「福文字を崩すのがもったいないな」と思いながら紅茶クリームを食べ進めると、ヒヤッと冷たいものが。下に紅茶アイスが隠れていました。
さらに食べ進めると、さつまいもペーストは濃厚な甘みで美味。
でもクリームやペーストで少し甘さに飽きてきたころに、フレッシュりんごが爽やかさをもたらしてくれ、後半のブリオッシュや大学いもが食べ応えをもたらしてくれます。
最後はさっぱりとした紅茶ゼリーがあらわれ、美味しく完食できました。
他のメニューと異なり、福パフェのみ13時からの提供となります。
その他、伊藤若冲「蕪に双鶏図」という展示作品に関連して、メニューには「かぶのシーザーサラダ」もあります。
ミュージアムショップでしか手に入らないオリジナルグッズ
美術館に立ち寄ったときのもう一つの楽しみといえば、ミュージアムショップ。
洗練されたグッズやオリジナルコラボ商品もあるので、立ち寄らずにはいられません。
まず気になったのは「井筒八ッ橋本舗」とのコラボ商品。
八ツ橋に、企画展で展示されている伊藤若冲「群鶏図押絵貼屏風」の鶏たちが躍動感そのままに描かれています。
濃淡までしっかりと再現されている点にこだわりを感じます。
こちらはインターナショナルチョコレートアワードで3年連続受賞している、ビーン・トゥー・バーで有名な「COCO京都」とのコラボ商品。
ダブルチョコレートでコーティングされた大麦スティックで、様々な日本画が印刷された箱も美しいです。
(撮影協力:福田美術館)
ミュージアム名:福田美術館
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
電話番号:075-863-0606
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:火曜日・年末年始・展示替期間
入館料:一般1,300円、高校生700円、小中学生400円