こんにちは、SORESEKAこと「それは、世界遺産がきっかけだった。」編集長のMamiです。
今回は京都にある世界遺産「清水寺」の見どころをご紹介します。
12年かけて行われた「平成の大改修」が2020年12月に終了したので、生まれ変わった清水寺の見どころを写真多めでご紹介します。
足かけ12年におよんだ清水寺の平成の大改修
清水寺の伽藍は室町時代(応仁の乱)に「全焼」しており、江戸時代(1631年〜1633年)に徳川家光の寄進によって行われた「寛永の大造営」(再建)にて、焼失した伽藍のほとんどが「復元」されています。
そして日差しや雨風にさらされる木造の寺院は一定期間ごとに修復が必要となり、清水寺では2008年から「平成の大改修」として、境内の建物が順々に修復されてきました。
2020年3月には本堂の屋根の葺き替え工事が、12月には舞台の工事が終わり、足かけ12年におよんだ「平成の大改修」が終了しました。
早速、生まれ変わった清水寺に行ってみましょう!
清水寺の見どころ〜仁王門・鐘楼・西門・三重塔〜
やってきました世界遺産「清水寺」。
鮮やかな朱色の伽藍が目を惹きます。
有名な「清水の舞台」や「音羽の滝」はさらに奥にありますので、まずは本堂に辿り着くまでにある重要文化財の数々をご紹介します。
仁王門(重要文化財)
清水寺の正門「仁王門」(重要文化財)です。
江戸時代に再建され、2003年には解体修理がなされました。
- 幅 約10m
- 奥行き 約5m
- 棟高 約14m
堂々たる楼門です。
それにしても一般的な狛犬は左右で、口を開けている「阿形」と、口を閉じている「吽形」なのに、仁王門前の狛犬は左右とも口を開けた「阿形」なのは不思議です。
仁王門をくぐると、右手には西門と三重塔が見えてきます。
鐘楼(重要文化財)
左手には美しい「鐘楼」(重要文化財)が建っています。
鐘楼は平安期に建造され、江戸時代に現在の場所に再建・移築されました。
多くのお寺の鐘楼は4本の柱で支えられていますが、鐘が重いのか、清水寺の鐘楼は6本の柱で支えられています。
随求堂
突き当たり正面には、再建された「随求堂」があります。
「衆生の願い、求めに随って、叶えてくれる」という大功徳をもつ大随求菩薩が本尊として祀られています。
なお随求堂では、御本尊の下にある真っ暗な空間を仏様の胎内と考え、その暗闇の中を歩き外に出てくることで生まれ変わる「胎内めぐり」を体験できます。
西門(重要文化財)
随求堂を右手に曲がると、江戸時代に再建された「西門」(重要文化財)を間近で見ることができます。
桃山建築様式の粋を凝らしたつくりで、
- 牡丹彫刻の懸魚
- 菊花彫刻の蟇股
- 四隅の柱の先にある獏と象の木鼻
などが見どころです。
また西門から眺める京都の街並み、特に西山の日没は素晴らしく、京都屈指の夕陽の名所でもあります。
ちなみにこの西門は、仏教修行のひとつ「日想観」の聖所でもあります。
日想観とは、西の空に沈む夕陽を見つめ、西方にあるとされる極楽浄土を想うだけで、観音様を感じることができるものだそうです。
三重塔(重要文化財)
清水寺の「三重塔」(重要文化財)は国内最大級の三重塔で、高さ約31mあります。
創建は847年、現在の建物は江戸時代に再建されたものです。
経堂(重要文化財)
「経堂」(重要文化財)は江戸時代に再建され、2000年に解体修理がなされました。
平安時代中期には一切経(仏教の経典群 / 大蔵経)を所蔵し、全国から学問僧が集まる講堂として栄えたものの、それ以降は記録から消え、現在その一切経は伝来していないとのこと。
開山堂 / 田村堂(重要文化財)
「田村堂 / 開山堂」(重要文化財)は江戸時代に再建され、2006年に修復がなされました。
田村堂や開山堂の名前の由来は、清水寺を創建した坂上田村麻呂の「田村」、清水寺を「開山」した延鎮上人を指しています。
繧繝彩色という手法が施され、丹塗りの柱と屋根をつなぐ組み物は、朱や緑など五色で彩られています。
田村堂の前には拝観受付があるため、清水の舞台がある本堂へと進む際は拝観料を支払います。
拝観受付の脇には世界遺産の案内板が。
本堂に近づくにつれ、光り輝く青紅葉が美しい。
清水寺の見どころ〜本堂・清水の舞台〜
轟門(重要文化財)
「轟橋」と「轟門」(重要文化財)を通って、本堂へ向かいます。
門は江戸時代に再建され、2016年に全面改修がなされました。
門なのに扉が見当たらないのは不思議ですが、飾られている扁額「普門閣」にそのヒントが。
普門閣とは「観世音菩薩が広く衆生に救いの門を開いている」という意味で、それゆえ門に「あえて扉をつけなかった」という見方がなされています。
左右には四天王のうち、持国天と広目天が安置されています。
回廊
回廊の先に本堂、そして清水の舞台が待っています。
本堂(国宝)
音羽山の断崖に建つ清水寺の「本堂」(国宝)は、江戸時代に再建され、御本尊の千手観音菩薩が祀られています。
出世大黒天
しかしインパクトが強いのが、回廊を通り抜けた正面に安置された出世大黒天です。
黒光が過ぎる。
一見、真新しいものに感じますが、実は室町時代に作られたもので、約500年前から清水寺にて参拝者を迎えています。
ですが2008年の修復の際に表面の漆が塗り直され、現在の鮮やかなお姿になりました。
本堂中央へ進む前に、大黒様の前にある鉄の下駄と錫杖も見どころ。
「弁慶の鉄下駄と錫杖」として知られていますが、本当は約700年前に目を病んだ鍛冶屋さんが清水寺の観音様に祈願したところ、失明から助かったため、お礼に奉納したものです。
しかし長い歴史の中で様々な伝説が生まれ、女性が下駄を撫でると一生履物に不自由しない(身に付けるものに困らない)とか、杖を片手で持ち上げると願いが叶うとか。
- 大きい杖は96kg
- 小さい杖は17kg
- 下駄は12kg
かなり重いですが、楽しみながら持ち上げてみてはいかがでしょうか。
清水の舞台
遂に到着しました、「清水の舞台から飛び降りる」という諺でも有名な「清水の舞台」。
現在の舞台は江戸時代に再建されたものです。
本堂から張り出した舞台の高さは約13m、4階建てのビルに相当します。
本堂は音羽山の急峻な崖に建築されていますが、「懸造り」という日本古来の伝統工法による丈夫な構造。
格子状に組まれた木材同士が支え合うことで、崖などでも耐震性が高く、長い歴史の中で幾度もあった地震に耐え続けています。
舞台床下は18本の柱で支えられています。
樹齢400年以上の欅が使われ、大きいもので長さ約12m、周囲約2mの柱が整然と並んでいます。
その縦横には何本もの貫が通され、木材同士をたくみに組み合わせた「継ぎ手」構造では、釘が1本も使用されていません。
舞台の目の前には美しい東山が広がっていますが、
この舞台は御本尊の観音様に芸能を奉納する場所なので、本来は景色に背を向けて、本堂の最奥にある観音様に向き合う場所です。
清水の舞台からは、本堂と同じ懸造りの「奥の院の舞台」の構造がよく見えます。
下をのぞけば「音羽の滝」も見えます。
多くの参拝者により踏み磨かれた本堂の床も美しい。
基本的に逆行は禁止されているので、思い残すことなく本堂で過ごしたら、その先へと進んでください。
清水の地主神社
続いて出会うのが「地主神社」。
縁結びの神様として知られており、
本殿前の左右に置かれた石から石まで、目を閉じて辿り着くことができれば恋の願いが叶うという「恋占いの石」は修学旅行生などに人気です。
清水寺の見どころ〜奥の院〜
阿弥陀堂(重要文化財)
「阿弥陀堂」(重要文化財)も江戸時代に再建され、平成の大改修がなされました。
入母屋造り、桟瓦葺の建築様式です。
奥の院(重要文化財)
「奥の院」(重要文化財)は「音羽の滝」の真上に建ち、本堂と同時期の1633年に再建され、2017年に修復が完了しました。
本堂と同じく急峻な崖に建ち、懸造りの構造です。
御本尊・千手観音菩薩を囲むようにして立ち並ぶ脇侍の地蔵菩薩と毘沙門天、それに風神・雷神と眷属・二十八部衆まで本堂と同じで、まるで本堂を小さくしたような建物ですが、詳しい記録はほとんど残されていません。
奥の院の舞台からは本堂や清水の舞台がよく見えます。
前回の本堂の屋根の葺き替え工事は1967年なので、半世紀ぶりに生まれ変わった、優美な曲線が美しい「寄棟造り」。
季節によってデザインが変わる拝観券と記念撮影。
数は少ないですが、紫陽花も綺麗に咲いていました。
先へ進むと、角度が変わり、三重塔の姿が再び見えます。
子安の塔(重要文化財)
現在の「子安の塔」(重要文化財)は1500年に建立されたものです。
檜皮葺の三重塔の内部には、子安観音(千手観音)が祀られています。
子安の塔まで上がると、西門から本堂までのすべての伽藍が一望できます。
シダ植物も光を浴びて綺麗。
清水寺の見どころ〜音羽の滝〜
清水寺最後のハイライト「音羽の滝」までやってきました。
清水寺の開創の起源であり、寺名の由来となった滝です。
創建以来一度も枯れることなくコンコンと湧き流れる清水は、「金色水」「延命水」と呼ばれ尊ばれてきました。
祀られている不動明王にお参りしたら、紫外線滅菌装置で抗菌された柄杓を使って、
清水をいただきます。
中学の修学旅行で訪れた時は、3筋の清水にはそれぞれ「学業成就」「恋愛成就」「健康長寿」とご利益が分かれているとガイドさんに説明され、友達と「どの水を飲もうか」なんてキャッキャした記憶がありますが、
現場には「3筋とも同じご利益の清水です」と案内板が掲げられていました。
欲張らず、スムーズに次の方に場を譲るためにも、1筋から清水をいただくのが良いようです。
音羽の滝の先は、清水の舞台の足元。
間近でみると、やはり圧倒的な大きさです。
樹齢400年以上の欅を使っているため、次の時代の改修のために、また欅を育てていくのも長い年月がかかるのだろうな。
当日は夏日だったため、喉がカラカラ。
茶屋で休憩せずにはいられない(境内には3ヶ所に茶屋があります)。
関西名物の「冷やし飴」(麦芽水飴または米飴を湯で溶き、生姜の搾り汁やおろし生姜を加えた冷たい飲み物)などでホッと一息。
最後は池のそばを通って、ぐるり清水寺を一周、最初の仁王門に戻ってきます。
境内にはご紹介した以外にも重要文化財がまだまだあります。
時間の許す限り、色々と見て回って楽しんでください。
清水寺の拝観料・拝観時間
【HP】
https://www.kiyomizudera.or.jp/
【住所】
京都府京都市東山区清水1丁目294
【拝観料】
- 大人400円
- 子供200円
【拝観時間】
- 1月〜6月および9月〜12月は6:00〜18:00
- 7月〜8月は6:00〜18:30
- 春夏秋の夜間特別拝観の際は21:30まで
*拝観料や拝観時間は季節や年によって変わることがあります。
清水寺へのアクセス
清水寺近くは電車が通っていないため、バスで向かいます。
人気観光地ということもあり、市内各地からバスがたくさん出ていますので、「五条坂」もしくは「清水道」を経由するバスに乗ってください。
参考までに、JR「京都駅」から向かう場合は次の通りです。
- 市バス206系統・100系統「五条坂」下車、徒歩10分
- 京都バス18系統「五条坂」下車、徒歩10分(土・休日のみ運行)
駐車場はありません。
清水寺周辺の観光情報
清水寺がある東山は京都市内でも屈指の観光地なので、見どころは尽きませんし、カフェもお土産やさんも山ほどあります。
何を見たり食べたりしたいかによっておすすめルートは異なりますが、例えば清水寺の門前を下り、右手にあらわれる三寧坂を下って、
八坂の塔を通りすぎると、カラフルな玉で有名な八坂庚申堂まで辿り尽きます。
着物や浴衣を着ていけば、京都らしい写真が撮れますよ。
また高台寺も徒歩圏内で、清水寺から約20分です。
以上、平成の大改修を終えた世界遺産・清水寺の見どころをご紹介しました。