
今回、福岡県にある世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺跡群」を巡る旅をしてきたので、「九州本土編」と「大島編」の2回に分けてお届けします。
本記事では、九州本土編として「宗像大社 辺津宮」と「新原・奴山古墳群」の旅の様子をお届けします。
旅先の注意事項などもまとめてあり長文になりましたが、半日で回れる観光コースなので参考になれば幸いです。
世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺跡群」とは

世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺跡群」は8つの資産で構成されています。
- 「沖ノ島(宗像大社 沖津宮)」とその周辺にある3つの岩礁「小屋島」「天狗岩」「御門柱」
- 大島の「宗像大社 中津宮」と「宗像大社 沖津宮遥拝所」
- 九州本土の「宗像大社 辺津宮」と「新原・奴山古墳群」
古来、大陸との交流の舞台となってきた玄界灘。
九州北部と海を隔てた朝鮮半島を結ぶ海域に悠然と現れる沖ノ島の姿に、いつしか人々は神の存在を見出し、沖ノ島は「神宿る島」として古くから尊ばれてきました。
そして、その尊敬は宗像三女神信仰につながっていき、三女神は国家から丁重な待遇を受ける存在となっていきます。
宗像大社と宗像三女神
宗像大社は、海によって結ばれた広大な神域を持つ神社に、宗像三女神を祀っています。
- 沖ノ島の沖津宮:田心姫神(たごりひめのかみ)
- 大島の中津宮:湍津姫神(たぎつひめのかみ)
- 九州本土の辺津宮:市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)
なお、神体島である沖ノ島への一般人の入島は禁止されていますが、大島にある沖津宮遥拝所から望むことができるようになっていますし、この記事で後述する神宝館などで出土品や映像を見ることができます。
世界遺産「宗像大社 辺津宮」への行き方

九州本土にある宗像大社辺津宮へは、JR「東郷駅」を起点として向かいます。
バスの本数が1~2時間に1本とかなり少ないので、事前に時刻表を確認されることを強くおすすめします(私は調べずに到着してしまい、タクシーで1,900円かかりました…涙)。
駅のタクシーが出払っていることもありますが、東郷駅から宗像大社までは車で10分ほどなので、駅まで戻ってくる時間を考慮し、約20分待つとタクシーを確保できる可能性は高いです。
宗像大社 辺津宮のおすすめの回り方

清々しい空気に包まれた境内。

太鼓橋を渡って、手水舎で手と口を清めます。
なお、宗像大社が推奨する、宗像三女神を参拝したことになるおすすめルートは次の通りです。
- 本殿・拝殿
- 高宮祭場
- 第二宮・第三宮
- 神宝館
以下、この順番で見どころを紹介していきます。
宗像大社 辺津宮の見どころ


『古事記』や『日本書紀』の日本神話にも登場する、日本最古の神社の一つ「宗像大社 辺津宮」。
『日本書紀』には、天照大神から宗像三女神へ「歴代天皇をお助けすれば、歴代天皇が祀るでしょう」という言葉が残されているそう。
1557年に消失したものの、本殿は1578年に、拝殿は1590年に再建され、どちらも国の重要文化財となっています。

この本殿を囲んで22の社殿に121の末社も鎮まっています。
宗像大社 辺津宮を訪れた際には絶対に参拝したい高宮祭場

そして宗像大社 辺津宮を訪れた際、絶対に参拝したいのが高宮祭場です。
今回の旅で出会ったタクシーの運転手さんも宿のスタッフさんも、「奥にある高宮祭場まで参拝されましたか」と聞いてくださるくらい神聖な場所です。
緑豊かな社叢を奥へと進む途中、第二宮・第三宮へと向かう道が現れますが、推奨参拝ルートに従い、まずは高宮祭場へ直行します。


「宗像大神降臨の地」といわれ、沖ノ島と並び最も神聖な場所がこの高宮祭場です。
人の手で作った場所ではなく、神様が降り立った場所ということで、古代祭祀の姿を今に伝える、全国でも稀有な露天祭場です。

周りを見渡すと、社叢の緑のエネルギーを吸い込んだかのような、淡い緑色のおみくじが。
珍しいなと思って後から調べてみると、緑色のおみくじが授与されるのは、例年4月〜5月までの2ヶ月間限定とのこと。
境内に約80本ある御神木などのクスノキ(樟)が一斉に若葉をつける時期に合わせ、「樟若葉(くすわかば)の色」をイメージして作られているそう。
訪れる季節ごとに紫色や水色などおみくじの色の変化があるそうなので、再訪する楽しみも増えますね。
第二宮・第三宮を参拝すると沖津宮・中津宮を参拝したことに

高宮祭場での参拝を終えたら、本殿の方へ戻る途中に、第二宮・第三宮へと通じる道が現れます。


第二宮に沖津宮、第三宮に中津宮の御分霊がお祀りされています。
神宝館も必見!沖ノ島から出土した国宝がずらり

参拝を終えたら、続いては神宝館へ(入館料 一般800円 / 撮影OK)。
神宝館では、4世紀後半から9世紀と約500年にわたる宗像大社の祭祀の変遷の記録などが展示されていますが、特に注目したいのが古代史解明の鍵となる銅鏡や優美な金製指輪など、8万点にものぼる沖ノ島から出土した神宝です。
すべてが国宝に指定されており、必見です!


まず最初にお目にかかるのが、国宝の金製指輪です。
明るい入口から急に暗い展示室に入り目が暗闇にまだ慣れないのと、指輪は小さいので、展示品があること自体に気づかず、一瞬素通りしてしまいそうになりましたが、目が慣れてくると、その荘厳な輝きに驚かされます(実物は写真の何倍も輝いています)。
花文や円文、指輪上下の蛇腹状の縁紋など、1500年前の高度な技術が凄すぎる。

当時貴重な鏡も70面と膨大な量が出土しており、祭祀への国家の関与があったことが伺えます。

ちなみに沖ノ島の国家祭祀遺跡の位置は、500年の間に4段階で変遷していきます。
- 巨岩を磐座とした岩上祭祀遺跡(4世紀後半)
- 岩陰祭祀遺跡
- 半岩陰・半露天
- 露天祭祀遺跡(9世紀)

この遺跡位置の変遷に合わせて、神へ捧げる奉献品の種類も変化していきます。
初期の岩上遺跡からは、三種の神器と言われる「鏡・剣・玉」を中心に奉献品が見つかっており、当時の大型古墳の副葬品に共通するものが感じられました。
次第に神が日常に用いる様々なものをミニチュアで形作った祭祀用品が考案されたり、宗像地域特有の形代(かたしろ)を主とするようになったり。

神宝館では、新羅やペルシャなどシルクロードを通じて運ばれた海外交流の証となる奉献品も多く展示されており、活発な東西交流の跡を垣間見ることができました。
そして9世紀末、遣唐使廃止により国家祭祀が終焉すると、宗像三女神の祭祀の主体は沖ノ島から本土の辺津宮へ移っていったそうです。
むなかた茶愉で姫餅をいただきながら小休憩

宗像大社の参拝や神宝館を訪問した後は、境内にある「むなかた茶愉」で小休憩はいかがですか。

大きなガラス窓から光が差し込むおしゃれなカフェで、可愛らしいお土産とともにアート作品も飾られています。

今回注文したのは、八女茶が付いてくる「姫餅セット」と「けし餅セット」(各880円)。


特にここでいただきたいのは、姫神たちからの美味しいお福わけ「姫餅(きもち)」です。
出来立てアツアツが提供される、一口サイズのお餅。
食べると、中からトロッとみたらしたれとともに小さい緑色のものが。
なんとワカメが隠し味として使われており、ワカメのほんのりとした風味と表面の焼き目の香ばしさが合わさって、お茶との相性も抜群。
次の場所へ移動するにあたり、本数の少ないバスを待ったり、タクシーを待ったりするのにも最適な場所です。
世界遺産「新原・奴山古墳群」の見どころ

次に向かったのは、世界遺産「新原・奴山古墳群」。
沖ノ島で祭祀を行い、「神宿る島」への信仰を「宗像三女神」信仰へと発展させた古代豪族・宗像氏の墳墓群です。
5世紀から6世紀にかけて、計41基が現存しています。
- 前方後円墳が5基
- 円墳が35基
- 方墳が1基
前方後円墳はヤマト王権との繋がりの強さを感じさせるもので、古代豪族・宗像氏は王権のもとで朝鮮半島への航海や沖ノ島での祭祀を担うことで、勢力を伸ばしていったとされています。

この展望所から全体を眺めるだけではなく、古墳群の中を歩きたい場合は、全長2km・所要時間約40分の散策コースも用意されています(私は今回は時間がなくて、散策は断念)。
世界遺産「新原・奴山古墳群」への行き方

- 宗像大社辺津宮からはタクシーで約8分(展望所に到着)
- カメリアステージからならバス停「昭和学園前(新原・奴山古墳群前)」下車(展望所すぐそば)
- 福間駅前からならバス停「奴山口」下車後、徒歩15分(24号墳付近に到着)
どこから向かうのであれ、地図にある通り山を越えながら向かうので、徒歩で向かうのは得策ではありません。

また展望所といっても周りに何もなく、地域の人々もまったく見かけなかったエリアなので、
- タクシー会社の電話番号を控えておく
- 連れてきてもらったタクシーにそのまま待っていてもらう(待機中も料金は加算されます)
- バスの時刻表をあらかじめ調べておく
など、帰りの手段をきちんと確保されておくことを強くおすすめします。
以上、世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺跡群」を巡る旅、九州本土編をお届けしました。
▼宗像の世界遺産巡りの際に滞在した「御宿はなわらび」の宿泊レポ

