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考古学者になりたい君へ、考古学専攻卒業生が大学の選び方を紹介します

Mami
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こんにちは、SORESEKAこと「それは、世界遺産がきっかけだった。」編集長のMamiです。

 

今回は考古学者になりたい高校生向けに、考古学専攻を卒業した私が「大学の選び方」をご紹介します。

夢はエジプト考古学者になることだった

mami_soreseka

大学生の時に旅した憧れのエジプト。遺跡の入場チケットの半券は今でもキラキラとした思い出の一部。

プロフィールでも少し触れていますが、わたしの小学生頃の夢は、エジプト考古学者になることでした。

きっかけは友達が貸してくれたマンガ『王家の紋章』で、テレビ『世界ふしぎ発見!』で観たギザの三大ピラミッドには衝撃を受けました。

それからはエジプト考古学者になるという夢を一途に追い続け、大学は迷わず考古学専攻に進学しました。

大学での学びを通して、結果的には自分は学者には向いていないと気づき、考古学者になる夢は終わりましたが、

それでも大学では、小学生の頃から10年間近く夢みてきた考古学の世界に触れることができたので、考古学者になるという夢は儚く散ったわけではなく、満たされた思いとともに終わりました。

そして、もちろん今でも世界中の古代遺跡や世界遺産をめぐる旅が大好きで、この「それは、世界遺産がきっかけだった。」という旅サイトを運営しているほどです(→Instagramに載せたMy Story)。

そんな私が、「考古学者になりたい」という夢を持っている学生さん向けに、体験談を交えながら、大学の選び方などをご紹介します

大学によって事情が異なる部分もあるかもしれませんが、進学先選びの参考になれば幸いです。

考古学者になるための大学の選び方

1)考古学研究室があるか確認しよう

まず「考古学を学びたい」と一口に言っても、

  • 一般教養科目として講義を受けられたらいいのか
  • 専門科目として発掘や実測などの実習・演習も受けたいのか

考古学をどの程度深く学びたいのかによって、大学の選び方は変わります。

そして「考古学者になりたい」のなら、やはり実習・演習は外せないので、「考古学研究室」がある大学を選ぶべきです。

この考古学研究室がある大学は意外と数が限られており、たとえば国公立大学だからといって必ず置かれているわけではありません。

歴史が古く、名門とされている大学に置かれている傾向があります。

2)教授のフィールドワークを確認しよう

考古学研究室がある場合は、教授を団長とした考古学調査団が結成されています。

そして考古学専攻生なら、学部生であっても、その調査団に所属して、発掘や出土品整理などに日々携わることができます。

この時、教授のフィールドワークによって調査対象が大きく異なるので、注意が必要です。

例えば、エジプト文明なのか、マヤ文明なのか、中国文明なのか。

日本考古学でも、縄文時代なのか、弥生時代なのか、古墳時代なのか。

同じ学ぶのであれば、あなたが興味がある文明・国・時代を調査している教授が在籍している大学を選ぶべきです。

ちなみに私が学生時代の時は

  • エジプトといえば早稲田大学
  • イラクといえば国士舘大学
  • カンボジアといえば上智大学
  • 日本といえば明治大学

でした。

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3)世の中の情勢を確認しよう

せっかく考古学研究室がある大学に進学し、希望する教授のゼミ生になれたとしても、少し注意が必要です。

それは世の中の情勢です。

例えば、発掘調査を行う際は、文部科学省から助成金を得るのが一般的ですが、研究成果の兼ね合いなどで助成金が得られない場合、在学中に発掘ができないことも起こり得ます。

また海外をフィールドワークにしている調査団は、その国の政治情勢が不安定になった場合、在学中に発掘に行けなくなることもあり得ます。

海外調査は院生のみ参加できるという調査団もあるでしょう。

もちろん発掘がすべてではなく、出土品の整理や報告書作成など、考古学調査団の一員として学べること・すべきことは色々ありますが、「考古学者になりたい」なら、誰もが一度は「発掘をしてみたい」と思うはず。

なので直近の発掘調査実績を確認するのもおすすめです。

ちなみに私は確実に発掘をしてみたかったので、大学選びではこの点も重視しました。

同様の考え方で、まず学部生の時に日本で発掘経験を積んだのちに、元来興味があった国をフィールドワークとしている教授がいる大学へ、院生として進学した同級生もいました。

(2)でお伝えした「あなたが興味がある文明・国・時代を調査している教授が在籍している大学を選ぶべき」と矛盾する内容ですが、要は何に重点を置くかということです。

大学での考古学専攻の授業

考古学専攻の授業としては、考古学という学問の歴史を学んだり、論文読解したり、資料分析方法を学んだり。

年代測定法は化学の知識も必要になってくるので、頭がパンクした思い出があります。。。

時には課外実習として、遺跡や博物館へ行き、知見を深めたりもしました。

 

左上は初めて製図用ペンでトレースしたもの。左中のコンパスのようなものがデバイダーです。左下は湿拓で写しとった土器の文様。中央はいつぞやに描いた出土品の実測図です。

個人的に楽しみだったのは、出土品の分析です。

何百年前、何千年前の遺物を実際に手にとった時の感動は忘れられません

出土品を実際に触りながら詳細に観察し、歴史を自分なりに紐解いていきます。

竹製マコ(真弧)やデバイダー、大きな三角定規を使って、実測図の書き方を学んだり、製図用ペンを使って報告書に掲載する図面をトレースしたり。

口縁部の断面実測図を描くのは難しかったですが、こういうのも考古学の醍醐味ではないでしょうか。

発掘調査の様子

夏休みや冬休みになると、発掘調査や測量調査に参加することができました。

一番調査期間が長い夏休みを例にあげると、私が所属していた調査団では3期に分けられており、どの期に参加するかによって、作業内容が大きく異なりました。

発掘調査1期

1期は、まず遺跡を覆っている草むしりから始まります。

その後、発掘調査する年代の地層まで、ひたすら地面を掘り下げていき、出てきた大量の土は土嚢(どのう)に詰めていきます。

そしてようやく発掘調査が開始したあたりで終了となります。

草むしりに土嚢詰めと体力がかなり必要ですが、遺跡が徐々に目の前に現れる様を体験できます。

発掘調査2期

2期は、遺跡の発掘をメインで味わえます。

ただ1期のようにドカドカと土を掘っていくわけにはいかないので、大胆かつ繊細な作業が求められます。

グループごとに担当区域が割り当てられ、仲間と連携しながら発掘を進めていきます。

発掘調査は一種の破壊行為なので、正しくデータを残して、きちんと後世に伝えていく必要があります。

教授や院生からも細かな指示がどんどん出されて細心の注意が必要ですが、はじめて土器片を発掘した時は、本当に感動しました。

発掘調査3期

3期になると発掘調査は終盤に差し掛かり、報告書に掲載する遺跡の写真撮影も行っていきます。

この時、遺構が分かりやすく写るよう、みんなで這うようにしながら表面の土をならしていくのですが、これが意外に大変でした。

今期の調査が終了したら、遺跡の盗掘や風化を防ぐために、発掘した空間に土嚢をひたすら埋め戻していきます。

ただ遺構を壊さないよう、また調査は数年がかりで行われていたので、来年の調査が開始しやすいよう、土嚢も丁寧に積み重ねていく必要があります。

3期も最後は土嚢で体力が必要ですが、遺跡がはっきりと姿を表し、発掘調査の完了を見届けることができます。

一見すると2期が発掘のハイライトのように思えますが、どの期にも良さがあり、それぞれ等しく人気でした。

もちろん1ヶ月半通して全期参加している仲間もいました。

卒業後の進路

卒業後の進路としては、一般企業に就職する人が7割、大学院に進む人が3割でしょうか。

考古学専攻生の大多数は学芸員資格も在学時に取得しますが、やはり専門職に就くには、大学院卒業が最低条件のところが多いです。

大学院を卒業した後は、公務員試験を受けて各地の埋蔵文化財課に就職したり、博物館に就職したり、大学の講師になって学者の道を目指したり、それぞれ活躍の道を見つけていきます。

いま考古学者になる道は多岐にわたっている

今回は「土を掘る」タイプの考古学に関する体験談をご紹介してきましたが、いま考古学者になる道は色々あります。

最近であれば、「ドローン考古学」という言葉が生まれたり、宇宙線ミューオンによる透視技術を活かした名古屋大学による「スキャンピラミッド計画」のように、新たな調査・アプローチ方法が着目されています。

他にも、海洋考古学であれば、また学ぶべきこと・求められるスキルが変わってきます。

高校生のみなさんであれば、進路相談会やオープンキャンパスの時に積極的に情報収集をして、ぜひ「考古学者になる」という夢に近づいてくださいね。

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