こんにちは、SORESEKAこと「それは、世界遺産がきっかけだった。」編集長のMamiです。
今回は日本三大祭の一つ、京都「祇園祭」の見どころについて紹介します。
祇園祭の見どころ
京都の祇園祭というと、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている山鉾巡行が有名ですが、祇園祭の見どころは山鉾巡行だけではありません!
なぜなら祇園祭は1ヶ月に渡って行われる祭礼なので、山鉾巡行のように雅な行事もあれば、神輿渡御のように勇壮な行事や、還幸祭の御霊移しのように厳かな神事もあるからです。
「祇園祭が終わると梅雨明け」と京都では言われる八坂神社の夏祭り。
京都に引っ越してまだ数年ほどですが、本当に祇園祭が終わると梅雨明けで驚いています。
夏の暑さとの戦いもあって(笑)、一度ではとても祇園祭の全てを見切れないので、数年に渡ってレポを更新しています。
そもそも祇園祭とは
八坂神社の祭礼である祇園祭は、869年に全国的に疫病が流行したとき、その退散を祈願して、長さ6mほどの矛を、当時の国の数にちなみ66本立て、牛頭天王(ごずてんのう)を祀ったのが始まりと言われています。
(中略)
祇園祭の最も重要な行事は、八坂神社の神輿渡御(みこしとぎょ)です。
まず7月17日に八坂神社から、三基の神輿に乗せられた御霊が氏子地域を一巡し御旅所に至る「神幸祭(しんこうさい)」が行われ、そのまま御霊は神輿とともに御旅所に7日間留まったのち、7月24日に再び氏子区域を一巡して、八坂神社にお戻りになる「還幸祭(かんこうさい)」が行われます。
神様を楽しませる神賑い(かみにぎわい)である山鉾巡行は、この神幸祭と還幸祭に合わせ、氏子である京都町衆の手によって行われます。
神幸祭に伴う山鉾行事を「前祭(さきまつり)」、還幸祭に伴う山鉾行事を「後祭(あとまつり)」と読んでいます。
引用:祇園祭山鉾連合会の案内より
祇園祭の主要行事一覧 | |
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日程 | 行事 |
7月1日 | 吉符入り |
7月2日 | くじ取り式 |
7月10日 | お迎え提灯行列 |
神輿洗い | |
7月10~14日 | 前祭 山鉾建て |
7月12~13日 | 前祭 曳き初め・舁き初め |
7月14~16日 | 前祭 宵山 |
7月16日 | 日和神楽 |
7月17日 | 前祭 山鉾巡行 |
神幸祭 | |
7月18~21日 | 後祭 山鉾建て |
7月20~21日 | 後祭 曳き初め・舁き初め |
7月21~23日 | 後祭 宵山 |
7月23日 | 日和神楽 |
7月24日 | 後祭 山鉾巡行 |
花傘巡行 | |
還幸祭 | |
7月28日 | 神輿洗い |
7月31日 | 疫神社夏越祭 |
祇園祭の日程は曜日によって左右されることはなく、毎年、神幸祭は7月17日、還幸祭は7月24日のように各行事の日程は固定されています。
そのため土日に山鉾巡行が当たった年は全国から人が押し寄せますが、平日の年は数万人単位で観光客の数が減ります(それでも人が多いことに変わりはありませんが)。
吉符入り
神事はじめ。
各山鉾町では町会所に集まり、祭礼神事の打合わせと共に祭の無事催行を祈念します。
くじ取り式
山鉾の巡行順をくじ取りで決める式。
長刀鉾をはじめ九基の山鉾は順番が決まっており、これを「くじとらず」といいます。
お迎え提灯
お迎え提灯は、当日夕方に行われる神事「神輿洗」の神輿を迎えるため、万灯会有志が、それぞれの提灯を立て行列を整え巡行します。
八坂神社を出発し(16:30)、各地を巡行しながら本能寺で舞台奉納を行い(17:30-18:30)、また巡行しながら八坂神社に戻り(20:30)、能舞台にて舞踊奉納を行います。
2019年(令和元年)は祇園祭1150年の節目の年でした。
1150年も続く祭とは、やはり歴史を感じますね。
この日は平日だったことと、山鉾巡行ほど有名ではないからか、さほど混んでおらず、15分前の到着でも八阪神社の前を陣取ることができました。
ただ、いざ行列が始まれば、何も知らずにその場にいた世界中の観光客が足を止めるので、一気に混みだします。
神様を「おむかえ」する提灯も見えてきました。
(武者組)武将メイクもしており、可愛らしいけれど、凛々しさもあります。
(京舞篠塚流)両手をきちんと揃えて歩く姿が、可愛らしいけれど、上品さが伝わってきます。
(鬼武者)出で立ちとは裏腹に、可愛らしい。
(祇園祭音頭)可愛らしい浴衣を着た少女たち。
(鷺舞)歩き方もどこか優雅に見える。
(馬長稚児:うまおさちご)華やかな衣装で馬上にいる姿は、子供でも品格を感じさせます。
ちなみに八坂神社に戻ってくる頃には、子供たちはみなぐったりしながらも、懸命に歩いていました。
蒸し暑い京都の夏に、数時間歩き続けることは大人でも大変だと思うので、「よく頑張ったね」と声をかけたくなりました。
以上、お迎え提灯は、純真無垢な少年少女による神様のお迎えでした。
神輿洗い
神輿洗いでは、四条大橋から汲み上げられ、祓いを受けた鴨川の水が「御神水」として用いられます。
そのため四条大橋の両側には、注連縄が飾られていました。
18時「奉告祭」終了後、神輿三基のうち二基を舞殿に据えます。
そして一基を舁き、列の前後を松明で照らしながら四条大橋の上まで行き、神輿を清める儀式を行ないます。
夜7時になると、まずは「道しらべの義」。
八坂神社の「おけら火」から遷された火で2本の大松明が灯され、神輿が通る道を清めて行きます。
四条大橋に着いた大松明は、橋の真中に高々と立てられ、「廻せ、廻せ」の掛け声がかかります。
大松明は立ったままの姿で、本当にぐるぐると廻されます。
そして四条大橋を清めた大松明は、再び八坂神社へ戻って行きます。
その後、いよいよ神輿が四条大橋に舁かれ、橋の中央で「神輿洗」の神事が始まります。
残念ながら、関係者以外は中に入れないように規制されていたので肉眼で見れたわけではないのですが、
大榊で「御神水」をふりかけながら神輿を清めるそうで、この「御神水」にかかると無病息災の厄除になるとされ、みな振りかけてもらいたくて大騒ぎ。
そんな大騒ぎの神事が終わったら、神輿は八坂神社へと帰って行きます。
大松明を担いでいる!すごい!
近くにいると煙だけでなく、熱も伝わってきて、迫力満点。
でも行列のすぐ後ろには消防士さんたちがついて周り、即、燃え残りの松明を消火していました。
でも、この燃え残りも厄除けになると、近くの住人は持って帰るそうです。
山鉾建て
山鉾の組立て。
釘を使わず、荒縄を使った「なわがらみ」とよばれる技法で組み立てられます。
曳き初め・舁き初め
曳き初め・舁き初め(かきぞめ)とは、山鉾建ての完了後に、試し曳きまたは試し舁きを行うことです。
基本的に祇園祭の担い手は男性のみしか許されていませんが、この曳き初め・舁き初めでは、老若男女問わず、観光客でも誰でも参加が可能となっています。
そして実際に鉾の綱を曳かせてもらったり、山を舁がせてもらうことで、「厄除けになり、また一年無事に過ごせる」と考えられています。
私は長刀鉾(前祭)と大船鉾(後祭)の曳き初めに参加してきました。
参加方法ですが、特に予約は必要なく、各山鉾の曳き初め・舁き初めの開始時間までにその場にいればOKです(開始時間は最新情報をご確認ください)。
ただ参加希望者は多く、特に長刀鉾のような人気の鉾の場合は、早めに並んでいた方が確実です。
ちなみに長刀鉾の曳き初めに参加した時は1時間以上前から並びましたが、いざ開始時間になり綱が伸ばされると、ギリギリ綱の先端部分を引っ張れる位置でした。
いざ曳き初めですが、各山鉾には独自のお囃子があり、山や鉾の前面に立つ「音頭取り」のかけ声と扇子によって曳くタイミングが決まっています。
音頭取りが特定の舞を3回行い、かけ声「エ-ンヤ-ラ-ヤ-」の最後の「ヤ-」で、「曳け〜!」と言わんばかりに扇子を前に突き出し、体を前傾にする瞬間があるので、そこで皆で息を合わせて綱を曳きます。
何トンもある鉾を実際に曳いてみると、びっくりするほど滑らかに進み、組み立てがしっかりとなされていることが感じられました。
そして何よりも、何世紀にも渡って続いている伝統の祭に直接関われていることに感動を覚えました。
試しなので各山鉾町内のみの巡行にはなりますが、本番さながらにお囃子が演奏されますし、長刀鉾の場合は「神の使い」とされる「お稚児さん」も乗り込み「太平の舞」を披露してくれます。
本番の山鉾巡行ではこんな間近では決して見れないので、見応えもたっぷりでした。
最後に曳き初めでの注意点ですが、曳き終わった後に早く移動したいからと、綱をヒョイと跨いでは絶対にダメです。
ご神体を載せてゆく山鉾は神聖なものなので、それを繋ぐ綱を跨いでしまうと、関係者に強く注意されます。
綱を横切りたい時は、綱を持ち上げてくぐりましょう。
宵山
宵山は前夜祭のようなものです。
山鉾巡行前の各3日間、山鉾町では山や鉾を飾り、駒形提灯を灯してお囃子が演奏されるなど、祭ムード一色になります。
「この宵山が一番楽しみ!」という京都人の声も多く、日が暮れてくる頃、浴衣で出かけ、家族や友達、恋人と楽しい時間を過ごします。
ご神体や懸装品が飾られた会所では、粽やお守りが販売され、子ども達のわらべ歌も聞こえてきます。
京都では、この粽を玄関先に飾る風習があります。
各山鉾によってご利益が異なるので、人気の粽はあっという間に売り切れてしまうほど。
また拝観料を払えば、各山鉾に登ることもできます(ただし一部は女人禁制)。
私も実際に菊水鉾に登ったのですが「こんな狭いスペースで囃子方たちは演奏しているのか!」と驚きつつ、「だから体が半分ほど鉾から出ているのかな」と納得しました。
その他、御朱印が自分で押せるので、御朱印集めを楽しむもよし、出店を楽しむもよしです。
日和神楽
山鉾巡行前日の夜10時頃、明日の晴天を祈念して各山鉾町から囃子を奏でながら御旅所へ出向いてお囃子奉納を行い、再び、おもいおもいの道を通って帰町します。
山鉾巡行
前祭は23基の山と鉾が、7月17日午前9時に四条烏丸を出発し、四条堺町で「くじ改め」を行った後、河原町通から御池通へと進みます。
後祭は10基の山と鉾が、7月24日午前9時半に烏丸御池を出発し、市役所前で「くじ改め」を行った後、河原町通から四条通へと進みます。
時には25m近い高さがある山鉾が通るので、巡行直前に信号は折りたたまれます。
毎年必ず巡行の先頭にたつのは長刀鉾。
生稚児が乗るのも今では長刀鉾のみとなりました。
毎年、長刀鉾の稚児に選ばれた子は注目の的となり、このお稚児さんの注連縄切りが巡行開始の合図となります。
何基もの山鉾が列をなし、お囃子に合わせて動く様は「動く美術館」と称されるのも納得の優美さ。
そして交差点で方向を変えるための「辻廻し(つじまわし)」も見応えがあります。
車輪の下に竹を敷いて廻すので、パリパリパリと竹が弾ける音も耳に心地よいです。
「音頭取り」「車方(くるまかた)」「曳手(ひきて)」などが息を合わして廻す必要があり、3回以内に方向転換ができたら拍手喝采!
できなかったら地元のお爺ちゃんやお婆ちゃん達から「今年は下手くそやな〜」と愛のムチが飛び交います。
山鉾巡行はどこで見るのがおすすめ?
まず注連縄切りが行われる四条麩屋町の周辺は、関係者やTVクルーでごった返しており、座って見ることはできません。
座って見たい場合、写真のような拝観券があると、四条通りを中心に席が用意されています。
ただ、このタイプの拝観券は氏子地区関係者が手にすることが多いです。
なお拝観券をいただいた年は雨が降ったのですが、御旅所の席には屋根がありませんでした。
でも後ろにいる立ち見の人々のために傘はさせず、困って周りを見回してみると、ベテラン地元勢はしっかりレインコートを持参していました。
あなたも席を確保できた場合、そして天候が不安定な場合は、傘ではなくレインコートを持って行ってくださいね。
一方、四条通りで立ち見をする場合、前の人の隙間から見ることにはなりますが、アーケードの下で見れるので、雨が降っても心配はありませんし、直射日光に当てられずに見ることができます。
次はツアー会社による席の手配ですが、市役所前に何メートルにも渡って毎年席が用意されているので、運がよければ辻回しを間近で見れます。
最後に個人旅行の場合ですが、座りたい場合は早くからの場所取りが必要になります。
また何をメインに見たいのかによって、おすすめの場所が変わってきます。
辻回しを見たい場合は「四条河原町」か「河原町御池」がおすすめです。
また山鉾が何基も優美に並ぶ姿を見たい場合は、前祭なら「新町御池あたり」、 後祭なら「四条烏丸あたり」がおすすめです。
それぞれ巡行の後半のエリアになるので、良くも悪くも「山鉾の交通渋滞」がおきがちだからです。
神幸祭
7月17日の夕刻
- 中御座(三若神興会)
- 東御座(四若神興会)
- 西御座(錦神興会)
の三基の神輿が八坂神社を出発し、氏子区域を巡り、四条寺町の御旅所に到着します。
還幸祭
7月24日の夕刻、御旅所に7日間とどまった三基の神輿が、再び氏子区域を巡り、夜10~11時頃に八坂神社に還ります。
荒々しいかけ声と共に、法被を着た男達が八坂神社に集結する様は圧巻です。
場所場所で神輿をグルグル回したり、上下に揺すったりし、最後、八坂神社に神輿を奉納する時、祭の興奮は最高潮に達します。
そして真夜中、神輿に載っていた神様が本社に戻られる「御霊移し」の神事が行われます。
御霊移しの最中は神社内すべての電気が消され、携帯もカメラも、光るもの、音が鳴るもの、全部が禁止されています。
月明かりの下、神主さんの衣ずれの音だけが聞こえる厳かな儀式であり、そんな静寂の中で人々は祈りを捧げる神秘的な時間でした。
なんとも言葉では表せない不思議な空気に包まれ、月を見上げながら、ふと「平安時代の人々もこのように太平を祈っていたのだな」とタイムスリップした感覚を味わいました。
御霊移しが終わると、社殿内に明かりが灯り、雅楽が奏でられ、神事はまだまだ続きます。
ただもう日付が変わっている頃なので、終電に飛び乗る予定ではない場合は、あらかじめ宿を確保しておくのがおすすめです。
祇園祭1150年記念として江戸時代の神輿渡御の様子を再現
2019年は祇園祭1150年という記念の年なので、江戸時代の神輿渡御が再現されました。
その再現というのが、又旅社(御供社)の前に、神輿3基が同時に集結するというもの。
又旅社がある三条会商店街は、たくさんの人々の熱気、掛け声、お囃子、手拍子、歓声などに包まれ、神輿3基が同時に集結する瞬間は凄まじいエネルギーに包まれていました。
神事の最中はお静かに。
その後は「ホイットー、ホイットー!」の掛け声とともに、神輿を激しく上下に振り回します。
担ぎ手の皆さんの腕の部分のブレ具合から、その激しさを感じてもらえるでしょうか(写真は中御座神輿)。
その後は、東御座神輿と西御座神輿も又旅社の前で、神輿を激しく振り回します。
男衆がぐいっと腕を伸ばすと、重い神輿も想像以上に高いところまで上がります。
決して広くはない商店街だからこそ、間近でお神輿を見せてもらえるチャンス。
四若の東御座神輿には「若」の彫り物があることに気づきました。
3つの街が集結するという凄まじいエネルギーに満ち溢れた特別な神輿渡御を堪能できました。
祇園祭シーズンは着物や浴衣が50%OFFと激安になる
着物が好きな方。
せっかく夏の京都に来たのだから浴衣を着たい方。
実は、祇園祭のシーズンは呉服屋さんの年に一度の大奉仕月間でもあるんです。
それこそ普段なら何十万円もする着物や帯が、50%OFFと半額になることも珍しくありません。
浴衣も購入すれば、その場で無料で着付けてくれるお店もたくさんあります。
着物や浴衣に合わせる小物類は上質な物からお土産用までピンキリですが、何にしてもお得なので、祇園祭を楽しみながら室町界隈も散策されるのがおすすめです。
私も最初は浴衣を探しに行ったのですが、気づいたら反物(小千谷縮み)と帯を買っていました。
仕立て代などを合わせるとそれなりの出費にはなりましたが、その分、大切に着続けたいと思います。
祇園祭を楽しむためにおすすめのホテル
祇園祭は八坂神社の祭礼です。
そして山鉾は室町界隈に建てられ、四条通〜河原町通〜御池通を巡ります。
そのため
- 八坂神社周辺
- 室町界隈
- 四条通〜河原町通〜御池通
のホテルに宿泊するのが一番おすすめです。
ただ世界中から観光客が押し寄せるので、早めにホテルを抑える必要があります。
また祇園祭の期間になると、バスは混み合い定刻通り走らなくなりがちですし、特定のバス停に停車しなくなったり、経路変更したりなど、祭礼に合わせて交通規制が行われるので、土地勘がないと混乱すると思います。
そのため上記おすすめエリアでホテルを抑えられない場合、
- 京都市役所前駅(地下鉄東西線)
- 祇園四条駅(京阪本線)
- 烏丸駅(阪急京都線)
- 烏丸御池駅(地下鉄烏丸線 / 地下鉄東西線)
が電車を利用する場合の最寄駅になるので、
- 京阪本線
- 阪急京都線
- 地下鉄東西線
- 地下鉄烏丸線
沿線のホテルだと交通の便がいいのでおすすめです。