こんにちは、SORESEKAこと「それは、世界遺産がきっかけだった。」編集長のMamiです。
今回は京都にある世界遺産「上賀茂神社」の見どころをご紹介します。
訪れたのが6月ということもあり、後半には「夏越の祓」の様子もお伝えします。
知っておくと理解が深まる!上賀茂神社の御由緒
京都市・北部にある世界遺産「賀茂別雷神社」、通称「上賀茂神社」の起源は、神話の時代まで遡ります。
由緒を知っておくと神社への理解がより深まりますので、まずは神話を簡単にご紹介します。
神代の昔、天上で雷鳴が轟き、一本の矢が降ってきました。
賀茂玉依姫命が小川(現在の賀茂川上流)で身を清めているとき、その流れてきた矢を不思議に思い、持ち帰りました。
その夜、不思議な矢の力により賀茂玉依姫命は身ごもり、元気な男の子を産みました。
やがて男の子が元服の日を迎え、賀茂玉依姫命の父である賀茂建角身命は、全国から神様を集め、宴を催しました。
そして男の子に盃を渡し「自分の父上だと思う神様に盃を進めなさい」と言いました。
すると男の子は盃を天に向かって掲げ、「私の父上は、天の神様です」と言い、雷鳴とともに天に昇ってしまいました。
賀茂玉依姫命と賀茂建角身命が男の子に再び会いたいと願っていたある夜、男の子が賀茂玉依姫命の夢枕に立ち、「私に会いたいのなら、葵の葉を飾って、馬を走らせて祭りを行ってください」と言いました。
賀茂玉依姫命が言われたとおりにすると、男の子は成人の姿で神山に降臨されました。
この男の子こそ、上賀茂神社の御祭神「賀茂別雷大神」で、これが「賀茂別雷神社」のはじまりとされています。
そして現在のような社殿が整えられたのは天武天皇の時代(678年)とのことで、京都で最も古い神社のひとつといわれています。
「神山」は本殿から北北西2kmほどのところにあり、駐車場から眺めることができます。
神山も世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産に含まれています。
余談ですが、母である賀茂玉依姫命と祖父である賀茂建角身命は、世界遺産「下鴨神社」の御祭神として祀られています。
御祭神が家族関係にあるためか、上賀茂神社と下鴨神社には共通点が多く見られます。
京都にある世界遺産「上賀茂神社」の見どころ
それでは毎年5月15日に行われる「葵祭」でも有名な上賀茂神社の見どころをご紹介していきます。
参道と馬場
鮮やかな「一の鳥居」をくぐると、
長い参道がすっと通っており、左右にはふかふかの芝生の馬場が広がっています。
糺の森に囲まれた下鴨神社の参道とは対照的で、開放的な参道です。
向かって右手の馬場には見事なしだれ桜が植えられており、春には「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンCMにも登場した斎王桜をはじめ、御所桜や風流桜が訪れる人々を迎えてくれます。
神馬舎
参道を進むと、二の鳥居の直前、左手に「神馬舎」があります。
御祭神が神山に降臨される際に「馬を走らせて祭りを行ってください」と命じたことから、毎年5月5日に開催される「賀茂競馬」など、上賀茂神社では馬にまつわる神事が多く執り行われています。
それゆえ神様のお使いもお馬さん。
現在の神馬は「神山号」と名付けられた真っ白な馬で、日曜日と祝日、祭典日に出社し、神様の側に控えています。
出社日は神馬にニンジンをあげることができたり、限定のお守りやおみくじが授与されたりします。
立砂
「二の鳥居」の脇に世界遺産の案内板が設置されています。
二の鳥居をくぐり、左手に現れる建物は「細殿」(重要文化財)。
天皇や斎王が参拝の際に装束などを整える場として使用されていた、格式高い殿舎のひとつです。
そして細殿の前には美しい円錐形の砂「立砂」が2つ並んでいます。
御祭神が降臨された神山を象ったもので、神様が降り立つための憑代、目印なのだそう。
立砂の頂上をよ〜く見てみると、松の葉が立てられていることに気づきます。
御祭神が神山に降り立った際、頂上に特別な松の木が立っていたことにちなんで立たせているそう。
神様はこの松の葉を目印にして、おいでになるそうです。
手水舎の水(神山湧水)
アジサイで可愛く飾られた手水舎。
この手水舎では、御祭神が降臨された神山の湧き水「神山湧水」を汲み上げたものが使われています。
手水舎の奥には小川が流れています。
境内には、祭器具を洗う「御物忌川」(東側)、神職が身を清める「御手洗川」(西側)という2つの川と、それらが合流した「ならの小川」が流れています。
2つの川が合流するところに社殿は立ち並んでいます。
ならの小川は、葵祭の禊の儀式を行う神聖な場所としても知られています。
透明度が高く、太陽の光を浴びてキラキラと輝く水面。
澄んだ空気が漂う川の周辺を散策すれば、心が洗われるようです。
橋殿(舞殿)
ならの小川にかかるように建てられているのが「橋殿(舞殿)」(重要文化財)です。
葵祭では、天皇の使いである勅使がここで御祭文を読み上げます。
岩上
橋殿から楼門へ向かう途中、岩の前に注連縄で囲われた「岩上」があります。
ここは上賀茂神社の境内の中でも、特に「気」が集中するパワースポットと言われています。
なぜなら葵祭ではこの岩の上で神事が執り行われる神聖な場所であり、神山とともに賀茂信仰の原点であり、古代祭祀の姿を今に伝える場所だからです。
楼門と玉の橋
岩上の先には、鮮やかな朱色の「楼門」(重要文化財)と「玉の橋」(重要文化財)が見えてきます。
玉の橋は神事などに利用される橋で、通常、参拝者は渡ることができません。
楼門を抜けると、「中門」(重要文化財)の奥に、「本殿・権殿」(国宝 / 通常は非公開)があります。
本殿に祀られているのは御祭神「賀茂別雷大神」は、雷のごとく強い力で厄を払ってくださる、厄除けの神様です。
なお権殿とは、本殿の修復が必要なときに神様が一時的に御渡りになる仮殿のことです。
片山御子神社 〜摂社と末社を巡る〜
上賀茂神社の境内には、摂社8社、末社16社がありますが、楼門の前にあるのが24社ある摂末社の中で第1摂社の「片山御子神社」、通称「片岡社」です。
御祭神の母神、賀茂玉依姫命が祀られています。
平安の昔より、縁結び・恋愛成就・家内安全・子授け・安産の神様として知られ、『源氏物語』の作者である紫式部も参拝していたとのこと。
摂末社にはそれぞれ異なるご利益がありますので、境内を巡りつつ、ゆっくりお参りされてください。
渉渓園にある願い石
川に沿ってぐるり境内を巡っていると、「渉渓園」に辿り着きます。
摂社「賀茂山口神社」の前にあり、平安装束に身を包んだ歌人たちが川に杯を流しながら和歌を詠む「賀茂曲水宴」などが行われる庭園です。
そんな渉渓園には「願い石」があります。
渉渓園には昔、龍の住む池があったそうで、その池から出土したのがこの願い石です。
2つに分かれたような形をしていることから、「陰陽石」とも言われています。
賀茂山口神社に参拝する前に、この石に両手を同時にあて、願い石のパワーをもらってください。
二葉姫稲荷神社
渉渓園の奥に鎮座する「二葉姫稲荷神社」は、境内にありますが、上賀茂神社の管轄外という珍しい神社です。
上賀茂神社の摂社である片山社の神宮寺鎮守社だそうで、明治維新の神仏分離の際、神宮寺は廃絶され、二葉姫稲荷神社だけが残されたとのこと。
周りには二葉葵が群生しています。
明治維新前の神仏習合の名残りを感じさせる面白い神社で、お稲荷さんや龍神様も祀られていました。
境内の西側「憩の庭」には、御神紋である二葉葵がデザインされた風鈴が。
もうすぐ夏がやってきますね〜。
夏越の祓
訪れた時は6月ということで、「夏越の祓」の季節。
「茅の輪くぐり」と「人形の祓」をさせていただきました。
大祓は毎年6月と12月の年2回行われる神事です。
この半年間で身についた穢れを祓い清め、来る半年間の無病息災を祈るもので、(京都)各地の神社で茅の輪が立てられます。
上賀茂神社ならではの人形の祓(初穂料100円)は、人形に名前と年齢を記入し、息を吹きかけ(または悪いところを撫でて)箱に納めると、31日の大祓式にてお祓いをしてもらえます。
上賀茂神社の参拝時間
【HP】
https://www.kamigamojinja.jp/
【住所】
京都府京都市北区上賀茂本山339
【参拝時間】
- ニノ鳥居5:30〜17:00
- 楼門および授与所8:00〜16:45
上賀茂神社へのアクセス
バスの場合
人気観光地ということもあり、市内各地からバスがたくさん出ていますので、「上賀茂神社前」もしくは「上賀茂御園橋」を経由するバスに乗ってください。
参考までに、JR「京都駅」から向かう場合は次の通りです。
- 市バス4系統「上賀茂神社前」下車、目の前
- 市バス9系統「上賀茂御園橋」下車、徒歩3分
地下鉄の場合
地下鉄烏丸線
- 「北山」駅より徒歩15分
- 「北大路」駅より徒歩20分
車の場合
駐車場あります。
- 6:00〜22:00
- 30分毎に100円(繁忙期は1回500円となります)
上賀茂神社周辺の観光情報
バス停「上賀茂神社前」の目の前(一の鳥居近く)には、「焼き餅」で有名な「神馬堂」があります。
しかし朝7時にオープンし、9時頃には売り切れ・終了となる人気店。
私も当日は10時頃の到着となったため、売り切れで食べれませんでした。。。
その他、憩の庭および社務所横では、カフェ「神山湧水珈琲 煎」が境内を流れる「神山湧水」を使ったコーヒーを提供しています。
以上、京都最古の神社のひとつ、世界遺産「上賀茂神社」の見どころと、「夏越の祓」の様子をお伝えしました。