こんにちは、SORESEKAこと「それは、世界遺産がきっかけだった。」編集長のMamiです。
ユネスコエコパークにも登録されている三重県大台町の「大杉谷」をご存知ですか?
私は初めて訪れたのですが、大杉谷で山暮らしを楽しまれている「仙人」との大杉谷トレッキングツアーがとても楽しかったので、その様子をお届けします。
手持ちの服装で参加でき、お子さんでも楽しめるプログラムとなっています。
三重県大台町にある大杉谷とは
三重県の大台町は、伊勢のさらに山奥にあるため「奥伊勢」とも呼ばれており、町全体が「ユネスコエコパーク」に認定されているほど、自然が豊かです。
ちなみに「世界自然遺産」は原生の自然環境保護を目的とするのに対し、「ユネスコエコパーク」は自然と人間社会の共生を目的とする取り組みです。
2020年2月現在、日本には10地域がユネスコエコパークに認定されていますが、関西では「大台ヶ原・大峰山・大杉谷ユネスコエコパーク」(奈良県・三重県)のみで、大杉谷は三重県大台町にあります。
大杉谷は日本三大峡谷のひとつでもあり、深々とした森林や日本一の清流「宮川」、迫力の「六十尋滝」など、圧巻の自然美を楽しめます。
実は、この大杉谷ですが、2004年9月の台風により壊滅的な被害を受け、登山道が全面復旧したのは2014年4月のこと。
つまり10年越しに秘境が解禁されたのです!
山肌が大きく崩壊したことにより、新名所も誕生。
「大杉谷林間キャンプ村」や「大杉谷自然学校」にて自然体験プログラムが催されたり、「ベルデ大台ツーリズム」によるエコツーリズムプログラムもあるので、大人から子供まで大自然を満喫できます。
大杉谷の「仙人」に六十尋滝を案内してもらいました
今回わたしが参加したのは、ベルデ大台ツーリズムによる『水』×『森林』仙人と行く大杉谷トレッキングというプログラムです。
トレッキングなら冬でも楽しめますし、「仙人って…どんな方?!」と参加する前からワクワクしました。
当日はベルデ大台ツーリズム代表の野田さんが、大台町や大杉谷のお話をしてくださいながら、仙人との待ち合わせ場所へ。
道中には、川底が見える吊り橋があったり、
「大杉谷ブルー」「大台ブルー」「宮川ブルー」などと称えられる、美しいエメラルドグリーンの宮川や奥伊勢ダム湖の景色を楽しめます。
宮川は日本一の清流として知られていますが、その水の綺麗さは、野生のワサビ棚が存在するほどです。
こうして宿泊先の奥伊勢フォレストピアから車で約50分。
遂に、秘境・大杉谷にて仙人と対面!
仙人ということで、山伏のような出で立ちの方かなと勝手に想像していましたが…、実際にお会いしてみた大杉谷の仙人こと巽さんは、自然を愛してやまない、お話の楽しい方でした。
色々とクイズを出しながら、六十尋滝や大杉谷を案内してくださいます。
「尋」というのは長さの単位で、一尋は約150cm。
だから六十尋滝の落差は90mほどあるよ。
一尋はちょうど私の身長と同じだから、覚えやすいです。
大杉谷と言うけれど、実は自生している杉はごくわずか。
大杉神社にある、推定樹齢1200年、樹高40mの御神木が由来とされているよ。
推定樹齢1200年とは、すごい!
この地域のパワースポットなんですね。
神社といえば、大杉谷は伊勢神宮とゆかりがあるのを知っている?
伊勢神宮でお清めに使われる五十鈴川だけど、昔はここに流れる宮川の支流だったんだよ。
そして大杉谷は伊勢神宮の式年遷宮の建材を産する御杣山(みそまやま)として活用されてきたんだ。
大杉谷で切り出された材木は、増水期の宮川の流れを利用して伊勢神宮まで届けられたんだけど、100本中何本が届いたと思う?
30本くらいですか?
残念!実は、100本中わずか1本の確率なんだよ。
え?!たった1%の木材しか届かなかったんですか!
だから式年遷宮の時は1万本近い木を切り倒さなければならず、あっという間に大杉谷は禿げ山に。
そこで再び植林をして、何十年もかけて森を育ててきたんだ。
ちなみに今まで7回、伊勢神宮の式年遷宮のための材木を産出してきたのだけど、直近は51回目の式年遷宮なんだよ。
この宮川は、まさに「宮のための川」だったんですね。
こんな風に興味深いお話を伺いながら、岩山を少し登ると、
あっという間に「六十尋滝(ろくじゅうびろだき)」に到着。
は〜、マイナスイオンに癒されます。
それにしても自然体の巽さん。
立ち姿すら素敵です。
大杉谷には、六十尋滝の他にも、(名前が付かないものもあるほど)多数の滝があるということで、車で少し移動しながら、次の滝へ案内していただきました。
ここは2004年の台風被害の様子が今も感じられる場所。
現在も、鯏谷橋(うぐいだにはし)周辺の宮川はゴロゴロとした大岩で覆いつくされています。
それでも自然の力はすごい!
徐々に徐々に水流を生み出し、自然と川としての流れが戻ってきたんです。
もちろん一切加工なしの「宮川ブルー」は神秘的な美しさ。
日本一の清流のせせらぎも楽しみつつ、
時には飛び岩を登り降りしながら川を渡るアドベンチャーも楽しめます。
72歳とは信じられないほど機敏に動かれる巽さんは、岩の上もホップ・ステップ・ジャンプするような軽やかさで先回りしつつ、川を渡る手助けをしてくれます。
こうしてたどり着いた滝は無名の滝。
地元の方の中には「鯏滝(うぐいだき)」と呼ばれる方もいらっしゃるそうですが、巽さんは「無名滝(むみょうだき)」と呼ばれていました。
とっても気持ちいい〜!
大杉谷トレッキングを楽しんだ後は、宮川さんのご自宅「大杉谷山荘」で昼食をいただきました。
大自然の中にある、隠れ家のような、秘密基地のような場所で、
縁あってご一緒した皆さんとワイワイ食べるご飯はとっても美味しい!
満腹になった後は、みんなが寒いだろうと焚き木をしてくださった巽さんを囲みながら、
- 大好きな自然の中で暮らしたい
- キャンプのような生活をしたい
- 男のロマンを探求したい
という3つのコンセプトを掲げながらの、30年以上続けている山暮らしについてお話を伺いました。
中部電力の宿舎だった建物を買い取って、ご自宅「大杉谷山荘」をつくられるまでの話や、一人での山暮らしだからこそ自衛すべき点についての話も興味深かったのですが、
人間は「ぼー」っとする時間も必要だよ。
と仰った言葉は、デジタルデトックスという言葉が生まれるくらい、常に何かと繋がっている現代人にとって、大切なことに感じました。
大杉谷はガチ登山だけじゃない!軽装でトレッキングも楽しめる
大杉谷を気軽に楽しむための服装は?
大杉谷では
- 登山(初心者〜上級者)
- SUP
- カヤック
- ボルダリング
などの大自然アクティビティを楽しめますが、登山では登山靴を、SUPやカヤックではラッシュガードを、とある程度の服装・装備が必要になりがちです。
でも「もっと気軽に、手持ちの服装で大杉谷の大自然を楽しみたい!」という方のために、ベルデ大台ツーリズムでは今回のように軽めのプログラムからガチの上級プログラムまで、様々なレベルのツアーが用意されています。
そのため、例えば1月末当日の私の服装は
- 手持ちのマフラー
- 手持ちのコート
- 手持ちのリュック
- 手持ちの手袋
- 手持ちのセーター(ヒートテックは2枚重ね)
- 手持ちの裏起毛ズボン(タイツも下に履いています)
- 貼るホッカイロ
- 手持ちの厚手ソックス
- 手持ちのスニーカー
と全て「手持ち」で揃えましたが、十分安全に楽しむことができました。
あえてした準備といえば、スニーカーに防水スプレーをかけておいたことだけです。
念のためにとしておいたことですが、実際、飛び岩を登り降りしながら川を渡る場面が何度もあったので、靴に防水スプレーをかけておいたのは正解でした。
また念のため、替えのソックスとタオルも携帯しておくと安心です。
大杉谷を本格的に登山する場合の服装は?
山小屋に泊まるような本格的な大杉谷登山をされる場合は、安全のために、もちろん適切な服装・装備を揃える必要があります。
特筆する点としては、大台町は雨が多い地域なので、上下セパレーツのレインウエアは必需品です。
携帯電話や地図の防水カバーもあると便利です。
また6〜9月にかけ雨の翌日はヒルが出やすいので、足の肌を露出しない服装が最適です。
ヒル避けスプレーをお持ちでない場合、塩や食塩水を携帯して足元にまくだけでもヒル避けになるそうです。
三重県・大杉谷へのアクセス
大杉谷がある三重県大台町への行き方は
- 電車ならJR紀伊本線「三瀬谷駅」
- 車なら「大宮大台IC」
の利用が便利です。
電車は本数が限られていますが、特急ワイドビューの車両なので、ゆったりとした座席で車窓を楽しみながら向かえます。
また大台町には温泉リゾート「奥伊勢フォレストピア」があり、レストランのお料理も美味しいので、一泊されてみてはいかがでしょうか。
夜は満点の星空も楽しめます。
この記事は、大台町魅力発信ツアー(大台町観光協会 主催)にご招待いただいた体験を元に執筆しています。#大台町PR