こんにちは、SORESEKAこと「それは、世界遺産がきっかけだった。」編集長のMamiです。
この記事では、ヨーロッパ周遊鉄道パス「ユーレイルパス」のアプリ版チケット「モバイルパス」について徹底解説します。
紙のチケットが不要になったので、スマホ1台で、より身軽にヨーロッパ旅行ができるようになりました。
ユーレイルパスとは
ユーレイルパス (Eurail Pass)とは、ヨーロッパ各都市を周遊できる鉄道チケットです。
ヨーロッパ33ヶ国、4万以上の都市をカバー。
電車に乗るたびにチケットを購入する手間がかからないので、自由にヨーロッパ鉄道旅を楽しみたい方には最適です。
私もポルトガルで2週間の鉄道旅をした際にユーレイルパスを利用し、快適な鉄道旅を楽しむことができました。
しかし、この時は「紙のチケット」だったのですが、紙チケットが不要の「モバイルパス」が登場したため、この記事では「ユーレイル・モバイルパス」について徹底解説していきます。
▶︎紙のチケット「ユーレイルパス」の購入方法や使い方の徹底解説はこちら
ユーレイル・モバイルパスとは
モバイルパスは専用アプリ「Rail Planner」でチケットを管理するので、スマホ1台でヨーロッパ33ヶ国を自由に周遊できます。
モバイルパスを利用するにあたり必要なのは以下の3つ。
- スマートフォン(Android 6.0以降 および iOS 13.0以降でサポート)
- アプリ「Rail Planner」
- インターネット接続(少なくとも3日に1回)
インターネット接続が必要なのは不思議に思われるかもしれませんが、有効性確認と不正行為防止のため、モバイルパスは定期的にユーレイルパスのシステムと照合されるとのこと。
もし3日以上インターネット接続をしないと、モバイルパスは非アクティブとみなされ、インターネットに接続してアプリを開くまでパスが使用できなくなるそうです。
ただ、ご自身の海外SIMカードやレンタルWi-Fiを使ったり、ホテルやカフェ、車内などで提供されている無料Wi-Fiを利用したりと、海外旅行先でも1日に1回はインターネット接続する方がほとんどだと思いますので、さほど心配する必要はありません。
ユーレイル・モバイルパスを利用できる人
ヨーロッパ以外の国に住んでいる方なら誰でもユーレイルパスで旅行でき、27歳以下と60歳以上の方はパスを割引価格で購入できます。
また、ヨーロッパに住んでいても、日本国籍であればユーレイルパスを利用できます。
そのため、ヨーロッパに留学中の学生さんでも、日本国籍であれば、ユース割引(12〜27歳)も利用して夏休みなどの長期休暇にヨーロッパ周遊の旅をする、なんてこともできます。
ユーレイル・モバイルパスの選び方
モバイルパスの選び方は紙チケットの選び方と同じですが、元々ユーレイルパスには複数のプランが用意されているので、以下3ステップに従って選ぶとスムーズです。
1)訪問したい国の数で絞り込む
まず、パスは2種類に大別されるので、複数の国を巡りたいのか、1カ国をじっくり巡りたいのかにより選択します。
種類 | 特徴 |
---|---|
グローバルパス | 33ヶ国で有効 |
1ヶ国パス | 1ヶ国のみで有効 |
1ヶ国パスに関しては、まだ33ヶ国すべてがモバイルパスに対応しているわけではありません。
現在、モバイルパスが提供されている国は以下の通りです。
- グローバル(33ヶ国周遊可能)
- オーストリア
- ベネルクス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3ヶ国)
- ブルガリア
- クロアチア
- チェコ共和国
- デンマーク
- フィンランド
- フランス
- ドイツ
- ギリシャ
- ハンガリー
- イタリア
- リトアニア
- 北マケドニア
- ノルウェー
- ポーランド
- ポルトガル
- ルーマニア
- スカンジナビア
- セルビア
- スロバキア
- スロベニア
- スペイン
- スウェーデン
- トルコ
モバイルパスが利用できる国や鉄道会社は下記の通りです。
基本的に、日本のJRのような、各国の「国鉄」を利用できます。
国 | 鉄道会社(略称) |
---|---|
オーストリア(リヒテンシュタインを含む) | ÖBB + Westbahn |
ベルギー | SNCB/NMBS + Thalys* + Eurostar* |
ボスニア・ヘルツェゴビナ | ŽFBH + ŽRS |
ブルガリア | BDŽ |
クロアチア | HŽ |
チェコ | ČD + RegioJet + LeoExpress |
デンマーク | DSB + NT + Arriva |
フィンランド | VR |
フランス(モナコを含む) | SNCF + Thalys* + Eurostar* |
マケドニア共和国 | MZ-T |
ドイツ | DB + Thalys* |
イギリス | ATOC + Eurostar* |
ギリシャ | TRAINOSE + Attica Group |
ハンガリー | MÁV-Start + GySEV |
イタリア | Trenitalia + TreNord |
アイルランド | IE + NIR |
リトアニア | LG |
ルクセンブルク | CFL |
モンテネグロ | ŽPCG |
オランダ | NS + Thalys* |
ノルウェー | NSB |
ポーランド | PKP + Koleje Dolnoslaskie |
ポルトガル | CP |
ルーマニア | CGR |
セルビア | SV |
スロバキア | ZSSK |
スロベニア | SŽ |
スペイン | RENFE |
スウェーデン | SJ + Arlanda Express + Arriva + Inlandsbanan + Norrtåg + Tågkompaniet + Värmlandstrafik |
スイス | SBB/CFF/FFS + BLS |
トルコ | TCDD |
注釈1)
ベルギーおよびスイスの「/」は、同じ鉄道会社ですが、オランダ語やフランス語など、言語による表記の違いで区切っています。
注釈2)
「*」の鉄道会社では、出発国と到着国の両方でグローバルパスが有効であることが必要です。
注釈3)
最新情報はユーレイパスの無料アプリ「Rial Planner」でご確認ください。
2)乗車頻度で絞り込む
次に、有効のカウント方法により、それぞれ2種類のパスに大別されます。
種類 | 特徴 |
---|---|
フレキシパス | 有効期間中、所定の日数のみ利用できる |
連続パス(乗り放題) | 有効期間中は何度でも利用できる |
フレキシパスとは、例えば「有効期間1ヵ月間のうち、(好きな日に)5日間使用できる」というチケットです。
有効日数は複数のプランが用意されています。
例えば「お気に入りの都市では数日間滞在したい」ならフレキシパス、「できるだけ多くの都市を訪れたい」なら連続パスという選択ができます。
ただ、1カ国パスの場合、フレキシパスのみ用意している国がほとんどです。
3)車両の等級で絞り込む
最後に、車両の等級を選びます。
1等車両はグリーン車、2等車両は普通車というイメージです。
等級 | 特徴 |
---|---|
1等車両 |
|
2等車両 |
|
区間によっては1等車両が走っていないこともありますし、逆に、ほとんどの高速鉄道および夜行列車では追加料金を支払い予約する必要があります。
そのため、お得に旅したいなら、ひとまず2等車両のユーレイルパスを購入し、1等車両に乗りたい列車のみ、その場で追加料金を支払い、1等車両のチケットを入手する方法がおすすめです。
ユーレイル・モバイルパスの料金表
ここでは大人1人あたりのモバイルパスの価格をご紹介します。
グローバルパス
フレキシパス | 1等 | 2等 |
---|---|---|
1ヵ月間のうち4日間 | €328 | €246 |
1ヵ月間のうち5日間 | €376 | €282 |
1ヵ月間のうち7日間 | €446 | €335 |
2ヵ月間のうち10日間 | €534 | €401 |
2ヵ月間のうち15日間 | €657 | €493 |
連続(乗り放題)パス | 1等 | 2等 |
15日間 | €590 | €443 |
22日間 | €690 | €518 |
1ヵ月間 | €893 | €670 |
2ヵ月間 | €975 | €731 |
3ヵ月間 | €1202 | €902 |
1カ国パス(ポルトガルの場合)
フレキシパス | 1等 | 2等 |
---|---|---|
1ヵ月間のうち3日間 | €123 | €92 |
1ヵ月間のうち4日間 | €152 | €114 |
1ヵ月間のうち5日間 | €179 | €134 |
1ヵ月間のうち6日間 | €205 | €154 |
1ヵ月間のうち8日間 | €253 | €190 |
ユーレイルパスの各種割引
ユーレイルパスには各種割引も用意されています。
割引の種類 | 割引額 |
---|---|
子供割引(0〜11歳) | 無料(ただし4〜11歳はユーレイル小児用パスが必要) |
ユース割引(12〜27歳) | 最大25%割引 |
シニア割引(60歳以上) | 10%割引 |
▶︎「ユーレイルパスは本当にお得なのか?」の検証結果
ユーレイル・モバイルパスの購入方法
モバイルパスは「Android 6.0以降 および iOS 13.0以降」でサポートされていますので、お手元のスマートフォンの環境をご確認の上、購入手続きに進んでください。
パスポートを手元に用意
モバイルパスを購入する際は、パスポート番号の入力が必要なので、お手元にパスポートを用意してください。
紙チケットの場合は「利用開始手続きをする」際に、鉄道会社の窓口でパスポートの提示が必要でした。
しかし、モバイルパスの場合は「購入する」際に、自分でパスポート番号の入力が必要です。
モバイルパスの購入場所
モバイルパスの購入場所ですが、以下2カ所から購入できます。
- 公式サイトから
- KLOOKから
「グローバルパス」あるいは「人気の国の1ヶ国パス」を購入するなら、KLOOK(クルック)からがおすすめです。
KLOOKは海外・国内の旅行体験予約ができるサイトで、鉄道チケットやテーマパークの入場券も扱っています。
そしてKLOOKでは、対象国は限られていますが、人気国のモバイルパスも扱っています。
価格は公式サイトと同額なので、同じ人気国を旅するなら、KLOOKでモバイルパスを購入してポイントを貯めておくと、次回以降、体験ツアーなどの予約をする際にお得になります。
KLOOK(クルック)からモバイルパスを購入する方法
まずは「KLOOK(クルック)」からモバイルパスを購入する方法をご紹介します。
画面上の表示で、言語「日本語」、通貨「日本円」になっているか設定を確認し、「eurail」と検索します。
日本語で「ユーレイル」と検索するとヒットするパスが少ないので、英語で「eurail」と検索されるのがおすすめです。
(なお、本当に公式サイトと同額が確認されたい方は、通貨をEURに切り替えて、この後ご紹介するEurailと比べてみてください。)
「eurail」と検索するとユーレイル・モバイルパスの一覧が表示されますので、希望のパスを選択し、購入手続きに進みます。
現在、KLOOKから購入できるモバイルパスは以下の国です。
- グローバル(33ヶ国周遊可能)
- フランス
- ドイツ
- ベネルクス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3ヶ国)
- オーストリア
- スペイン
- スカンジナビア(フィンランド、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの4ヶ国)
- ノルウェー
- ポルトガル
- スイス
なお「インターレイル」はヨーロッパ在住者のみが対象のパスですので、選ばないようにご注意ください。
あとは遷移先のページで「日付」「座席クラス」「利用日数」「購入枚数」などを選択して、購入手続きに進みます。
前述のように、1カ国パスの場合、フレキシパスのみ用意している国がほとんどですが、グローバルパスの場合は「パスの種類」(フレキシパスから連続パスか)が選べるようになっています。
支払い方法は、選択した通貨によって変わりますが、日本円なら各種クレジットカードと電子決済(Apple PayやGoogle Pay、PayPayなど)から選べます。
手続きが完了したら、24時間以内にKLOOKから「バウチャー番号」が届きますので、バウチャー番号を確認できたら購入完了です。
KLOOKから、グローバルパスは1万件以上も購入され、その他の国も、300件、500件と、多くの人が購入していることが分かります。
公式サイトと同じ価格なので、同じ買うなら、ポイントが貯まるKLOOKからがお得です。
公式サイトからモバイルパスを購入する方法
次に、公式サイト「Eurail(ユーレイル)」からモバイルパスを購入する方法をご紹介します。
画面右上で「言語」と「通貨」の切り替えができるので、日本語で表示されていれば手続きは難しくありません。
メニュー中央にある「ユーレイルパス」をクリックし、「グローバルパス」か「1カ国パス」を選択。
あとは遷移先のページで「購入枚数」「車両等級」「有効日数」などを選択して、購入手続きに進みます。
支払い方法は、各種クレジットカードとPayPalから選べます。
アフターサービスは英語・スペイン語・ポルトガル語での対応のみですが、ヘルプページは充実しており、日本語対応もされているので安心です。
手続きが完了したら、メールで「アクティベーションコード」が届きますので、コードを確認できたら購入完了です。
ユーレイル・モバイルパスの使い方
モバイルパスを実際に使う手順は以下の6ステップです。
- 専用アプリ「Rail Planner」をスマートフォンにダウンロードする
- アプリにモバイルパスを追加する
- 旅程をパスと接続する
- モバイルパスの利用開始手続きをする
- 乗る電車のチケットを作成する
- チケットを駅員さんに見せる
ステップ1〜4は一度設定するだけです。
1)専用アプリ「Rail Planner」をスマホにダウンロードする
まず、専用アプリ「Rail Planner」をお手元のスマートフォンにダウンロードします。
2)アプリにモバイルパスを追加する
次に、アプリにモバイルパスを追加します。
- アプリを開き「お客様のパス(My Pass)」 へ移動
- 「パスを追加(Add your Pass)」をタップ
- 「姓(surname)」と「パス番号(Pass number)」を入力(パス番号は購入時の確認メールに記載されています)
グループで旅行する場合、それぞれのパスをそれぞれのスマートフォンに追加することもできますし、1つのスマートフォンに複数のパスを追加することもできます。
お子様の分のパスは、親御さんのスマートフォンに一緒に追加できるので安心ですね。
なお、ステップ4の利用開始手続き後は、端末間のパスの追加移動はできなくなります。
3)旅程をパスと接続する
「新しい旅行を作成(Create a new trip)」し、旅程とパスを接続します。
すでに旅行を作成している場合には、その旅行を選択します。
4)モバイルパスの利用開始手続きをする
いよいよ旅するタイミングになったら、モバイルパスの利用開始手続きをします。
- パスポート番号の入力
- 最初の旅行日を選択
この「最初の旅行日」=「モバイルパスの利用開始日」となり、この日から有効期限がカウントされます。
5)乗る電車のチケットを作成する
アプリを使って列車の時刻を調べます。
希望する旅程が見つかったら、タップして、「旅程を保存(Save journey)」します。
高速鉄道や夜行列車の場合、追加料金や座席予約が必要な場合が多いので、事前確認も忘れずに。
「お客様の旅行(My Trip)」に移動し、タップしてパスに旅を追加します。
ユーレイルパスの時は、手書きで旅程を記録する必要があったので、タップで保存が完了するのはスムーズですね。
6)チケットを駅員さんに見せる
駅員さんにチケットを提示すると、バーコードがスキャンされ(国によっては目視)、乗車中の列車がチケットに記載されているか確認されます。
チケットの表示方法は
- 「お客様のパス(My Pass)」 をタップ
- 「チケットを表示(Show ticket)」をタップ
旅行日ごとにチケットがあり、各チケットには、その旅行日に追加したすべての旅程が表示されますので、該当のチケットを提示してください。
スマートフォンを紛失・破損したら、モバイルパスはどうなるの?
無料でモバイルパスを交換してもらえます。
モバイルパス番号を添えて、できるだけ早くカスタマーサービスに連絡してください。
モバイルパス番号は購入時のメールに記載されています。
モバイルパスでも旅先で割引特典は受けられるの?
ユーレイルパス同様、もちろんモバイルパスでも割引特典は受けられます。
フェリー、ホテル、博物館・美術館チケット、観光スポット、カフェ、市内交通カードなど、様々な場面で割引特典が用意されています。
各特典の具体的な利用方法については、アプリ内の「パスのメリット」にてご確認ください。
ユーレイル・モバイルパスでより身軽にヨーロッパ旅行を楽しもう
紙のユーレイルパスの時は「なくしてしまったら、どうしよう」という心配がありましたが、モバイルパスなら紛失を心配する必要がなく、スマホ1台ですべてが完結。
より身軽にヨーロッパ鉄道旅を楽しめるようになりました。
その他、
- ユーレイルパスの座席予約方法
- 夜行列車の日数のカウント方法
- ユーレイルパスの特典
などについては「ユーレイルパスとは?(紙チケット版)」の後半にて解説していますので、合わせてご覧ください。