こんにちは、SORESEKAこと「それは、世界遺産がきっかけだった。」編集長のMamiです。
今回は、京都にある国宝「石清水八幡宮」をご紹介します。
神社の方から面白い歴史話も色々と教えていただいたので、読んでいただいてから参拝されると、より楽しんでいただけるはず。
名物の甘味「走井餅」と期間限定かき氷「八幡の梨氷」も合わせてお楽しみください。
行きはケーブルで山頂まで
必勝の神として知られている「石清水八幡宮」は男山の山頂にあります。
そのため、行きは「石清水八幡宮駅」の隣にある「八幡宮口駅」からケーブルで一気に山頂まで上がることに。
約2分で「八幡宮山上駅」に到着しますが、途中、街を一望することができます。
ちなみにケーブルカーの鉄橋としては、日本一の高さを誇るそう。
山頂に到着したら、舗装された山道を歩いて進みます。
山には様々な動植物が生息しており、随所に案内板も設置されているので、鳥の鳴き声に耳をすましながら、バードウォッチングをされるのも楽しいかもしれません。
しばらく進むと、駐車場などが密集している大きな広場に出てきます。
ここには竹林に囲まれた「エジソン記念碑」も建立されています。
かの有名な発明家エジソンが、白熱電球の実用化に向けて、長時間輝き続けるフィラメントを探し求めた結果、採用したのが石清水八幡宮近くの真竹だったといわれている所縁からです。
ちなみに八幡の竹は江戸時代には刀剣の留め具である「目釘竹」の名品として徳川将軍家に献上されていたほど、強くて質が高いことで有名だったそうです。
三ノ鳥居の前にある「一ツ石」
広場の近くには「三ノ鳥居」があり、表参道へと合流します。
三ノ鳥居の前には「一ツ石」があります。
かつては馳馬(はせうま)や競馬(きそいうま)の出発地点であり、「勝負石」とも呼ばれる勝負必勝の石だそう。
その先の参道には、石灯篭がずらり。
書院石庭
参道を進むと、右手に「書院石庭」があらわれます。
皇族の方が参拝にこられた際に休憩される「貴賓室」として使われている場所ですが、京を代表する名作庭家・重森三玲さんによる石庭・枯山水を楽しむことができます。
石清水八幡宮の海神信仰にちなみ、海洋(島や波)が表現されているとのこと。
また、写真右奥の「永仁の石灯篭」(重要文化財)は鎌倉時代のもので、境内にある450基ほどの石灯篭の中で最古のものだそう。
ちょうど大河ドラマで『鎌倉殿の13人』が放映されているので、タイムリー。
国宝「石清水八幡宮」
南総門をくぐり、いよいよ御社殿へ。
「平成・令和の大修造」を経て、約1160年前の輝きを取り戻した、大変美しい「石清水八幡宮」。
現存する八幡造の本殿の中で最古かつ最大規模。
古代に成立した荘厳な社殿形式を保持しつつ、近世的な装飾を兼備した完成度の高い神社建築として、国宝へと指定されました。
御祭神は、神功皇后(東御前)、応神天皇(中御前)、比咩大神(西御前)。
皇室所縁の神社であるとともに、必勝・武運・厄除開運の神として、源氏や平家、織田信長や豊臣秀吉など、全国の武士の尊崇を集め続けました。
御社殿
美しい建築に見惚れていると、たまたま居合わせた神社の方が面白いお話を色々と教えてくださいましたので、以下ご紹介していきますね(ありがとうございました!)。
神鳩
たとえば、八幡宮のお使いである「神鳩」が御社殿正面に飾られていますが、右側の鳩だけ嘴を開けている理由はなんだと思いますか?
答えは、狛犬と同様の役目を果たしており、「阿吽」を表現しているから。
なるほど!
龍と虎
では、八幡宮のお使いである「神鳩」が御社殿正面に飾られているのは納得ですが、「龍」と「虎」が神鳩の上に飾られているのはなぜでしょうか?
答えは、現在の社殿は徳川家光の造替によるもので、徳川家康は寅年生まれ、徳川家光は辰年生まれということで、徳川家が自分たちの権力を示すために飾ったそう。
なんとー!
龍虎の裏も要チェック
正面からだけでなく、龍虎の裏面も見てみると、さらに面白い。
石清水八幡宮の御神紋は「流れ左三つ巴紋」ですが、その上に徳川家の「葵の紋」が!
皇室ゆかりの神社ゆえに、表立っては自分たちの紋は飾れない。
そこで、一見目立たない裏側に、けれど実は神様の正面近くに飾るという計算高さ。
ちなみに、かつては豊臣秀吉ゆかりのものが神様の近くに飾られていたけれど、徳川家が造り替えの際に「しれ〜」と横に動かしたそう。
権力の示し方!
重要文化財「東総門・北総門・西総門」と「信長塀」
続いて、境内をぐるり一周することに。
境内の東西南北には門があります。
しかし、北門のように、階段がない門もあるのですが、なぜだか分かりますか?
答えは、神様の通り道だからで、東総門は伊勢神宮、北総門は京都御所、南総門は宇佐八幡宮へ続くそう。
そして門を繋ぐように、境内をぐるり囲んでいるのが「信長塀」です。
織田信長による寄進と伝えられており、瓦と土を幾重にも重ねて強固にし、攻撃に備えたもの。
しかも門を挟んで、1m超あるのではと思うほどの分厚さがあり、耐久性に優れているのが分かります。
おがたまの木
東総門近くにある御神木「おがたまの木」。
この実の形から、巫女さんが舞を踊る時に手に持ってシャラン シャラン♪と鳴らす「神楽鈴」が作られたという説があるそう。
また、1円玉硬貨の表面に描かれている木でもあります。
重要文化財「若宮社」「若宮殿社」
超レア!1つだけ御神紋の向きが違う理由
西総門の近くに来たら、信長塀の上の瓦を注意して見てみてください。
実は、1つだけ御神紋「流れ左三つ巴紋」の向きが「右向き」になっているんです!
非公開の本殿の中にも、同じように1つだけ御神紋の向きが違うものがあるそう。
この理由は、建物は完成した瞬間から朽ちていくものなので、あえて「未完成」にすることで「永遠」を表現しているそうです。
面白いな〜。
黄金の雨樋
通常非公開となっている信長寄進の「黄金の雨樋」。
写真ではお伝えできませんが、肉眼だと、外からでもちらっとだけ垣間見ることができました。
展望台
参拝後は「ゆるやかな道だから」と教えていただいた東斜面の方の道を通って、北側にある「展望台」へ。
眼下に京都の街を一望することができます。
案内板によると、遠くに比叡山、そして平等院、伏見桃山城、城南宮、京都御所、渡月橋などの名所が見えるそうですが、肉眼では、かろうじて京都タワーを見つけることができました。
石清水社と石清水井
展望台の次は、再び東斜面を通り、裏参道の中腹にある「石清水社」へ。
神社の方が「パワースポット」とおすすめしてくださった社です。
この石清水井は、冬に凍らず、夏に涸れない「霊泉」と古くから(石清水八幡宮が創建される以前から)尊ばれてきており、石清水八幡宮の名前の由来になった場所。
現在もこの水が神事に使われているそうです。
ちなみに、気づかなかったのですが、きちんと濾過処理されたこの神水が境内で販売されているとのことでした。
向かって右の本殿と、正面の井戸の上屋である神水舎は、華麗な彫刻や彩色で飾られています。
また寛永13年(1636年)に寄進された石造りの鳥居は、境内に完全な形で残る鳥居の中で最古のものだそうです。
松花堂跡
裏参道を下っていく途中に、ちょっとした踊り場みたいな空間があり、そこには「松花堂弁当」の由来となった、石清水八幡宮の社僧・松花堂昭乗の晩年の住居・草庵跡地があります。
十字形の仕切り弁当はここから生まれたのですね。
頓宮殿
山道を下りきると現れるのが「頓宮殿」。
年に一度重儀が斉行される社殿です。
そして放生池の前を通り、「一ノ鳥居」に到着。
扁額の「八幡宮」の文字は、「八」の字が神使の双鳩になっています。
やわた走井餅老舗で名物「走井餅」と期間限定かき氷「八幡の梨氷」を
男山をぐるり一周しながら参拝を終えたら、疲れた足を癒すべく、一ノ鳥居の目の前にある「やわた走井餅老舗」で休憩がおすすめ。
当日はお天気に恵まれ、とても暑かったので、まずは期間限定かき氷「八幡の梨氷」(1,400円)を。
そう、珍しい「梨のかき氷」なんです。
昔から八幡は梨の産地として有名で、八幡の梨品評会で毎年受賞されている中村農園さんの梨を使用しているとのこと。
予想していたよりもシロップは甘みが強い。
けれど、凍らせた梨が添えられているのに加え、シロップにもすりおろした梨が含まれているからか、梨の風味もしっかり楽しめました。
幸水、豊水、新高と品種を変えながら提供されるそうなので、もう少しの間、梨のかき氷を楽しめそうです。
その後は、名物「走井餅」(煎茶セット500円)を。
北海道産のあんを、やわらか〜い羽二重餅でくるんだもので、伝統の技が光る美味しさでした。