
こんにちは、SORESEKAこと「それは、世界遺産がきっかけだった。」編集長のMamiです。
この記事ではウズベキスタンの世界遺産「ブハラ歴史地区」のおすすめ観光スポットを紹介します。
見所が沢山あるので、今回もかなり長いです(笑)
世界遺産ブハラ歴史地区とは

ブハラの黄金期は9世紀のサーマーン朝時代に始まります。
世界史が好きな方なら耳にしたことがあるだろう、医学者であり哲学者であり科学者でもあったイブン・シーナも、このブハラの生まれです。
文化的中心地として、歴史に名を残す多くの知識人を輩出しました。
しかし、そうした繁栄も1220年のチンギス・ハーンの来襲により徹底的に破壊され、ブハラは灰燼に帰してしまいました。
ブハラが再び蘇ったのは、16世紀のシャイバニ朝の時代になってから。
宗教的充実に莫大な富が注ぎ込まれ、多くのモスクやメドレセ(神学校)が建てられました。
そしてブハラの旧市街の街並みは、このシャイバニ朝の頃に完成し、今日までほとんど変化していないそうです。

私はヒヴァからキジルクム砂漠を渡ってブハラに向かいましたが、車で半日かかったので、時間を短縮したいなら、飛行機や高速鉄道での移動がおすすめです。
ブハラのおすすめ観光スポット
ブハラの街は新市街と旧市街とに大きく分かれており、観光するなら、遺跡が保存されている旧市街がおすすめです。
ここでは個人的におすすめの見所を紹介します。
カラーン・ミナレット

(左)カラーン・ミナレット (右)カラーン・モスク
カラーンとはタジク語で「大きい」という意味があるそうで、その名の通り、ブハラで最も高く、街のどこからでも見えるシンボル的な存在です。

1127年のカラ・ハン朝時代に造られたもので、塔身の壁面は14層の帯状になっていて、それぞれレンガが異なる積み方で装飾しています。
カラーン・ミナレットにはいくつもの伝説が残されているのですが、その中の一つを紹介しておきます。
チンギス・ハーンがやって来て、カラーン・ミナレットを見上げたら、帽子が落ちてしまった。
思わず腰を屈めて拾い上げると、
「この塔は私に頭を下げさせた立派な塔だから、壊してはいけない。」
と言った。
だからブハラの街はモンゴル軍によって壊滅状態になったが、この塔は壊されなかった。
カラーン・モスク

カラーン・ミナレットと繋がっているのが、カラーン・モスクです。
「大きい」を意味するカラーンが名にあるように、非常に大きなモスクです。
現在の建物は1514年のジャイバニ朝時代に建てられました。
入口は7ヶ所ありますが、写真は正面入口となっている東門です。

色タイルで装飾された美しい入口から一歩中に足を踏み入れると、

正面に青いドームがそびえ、


中庭は208本の柱による回廊で囲まれています。



入り口の精緻な幾何学模様やカリグラフィーとは異なり、ドームは力強さを感じる装飾です。

私が訪問した時は、たまたまトルコ大統領の来訪前日とのことで、一斉に大掃除が行われている珍しい光景を見ることができました。
ミル・アラブ・メドレセ

カラーン・モスクの目の前に立っている神学校です。
巨大なアーチの両脇に、2つの美しい青いドームがあるのが特徴です。

現在も約100名の生徒が住み込みで学んでいるとのことで、内部は一般公開されていません。

(左)ミル・アラブ・メドレセ(中央)カラーン・ミナレット(右)カラーン・モスク
3つをまとめて見遣ると圧巻です!
イスマイール・サーマーニ廟

今回ウズベキスタンを旅する中で多くのイスラム建築を見てきましたが、一番印象に残ったのがこのイスマイール・サーマーニ廟です。

レンガ装飾が美しいだけでなく、独特な雰囲気を醸し出していました。
892〜943年にかけて造られた、イスラム初期の建築様式の霊廟なのですが、中央アジアに現存する最古のイスラム建築とのことで、世界中の考古学者や建築家に注目されているそうです。
ブハラの街はモンゴル軍によって壊滅的な状態となりましたが、当時この廟は土中に埋もれていた&周辺が墓地だったため、気づかれなかったとのこと。
1925年に発掘されて、再びその姿を表しました。
中の写真撮影料は2,000スム(約27円)です。


中から見ても、レンガだけで様々な模様に積み上げているのが見事です。
当時の建築家の美意識の高さ!

太陽の位置や日射しの強弱によって、陰影が変わって美しいです。

そんな神秘的な空間の中、廟の前で商売をしている地元の方を見て、現実に引き戻されました(笑)。
アルク城

アルク城のあたりが古代ブハラ発祥の地とされていますが、多くの外敵による破壊と再建が繰り返され、現在の城は18世紀のものです。
1920年にソ連軍に攻略されて滅亡するまで、歴代ブハラ・ハンの居城でした。
中の写真撮影には5,000スム(約70円)が必要です。

ある建物の中に入ってみると、

美しい天井や

左側は修復前、右側は修復後。全部は修復せず、あえて当時のままを残しておくそうです。
美しい壁面に目を奪われます。

この建物には色々なコーランが展示されていました。

また謁見の間には、

当時の玉座が再現されていました。

謁見の間から出ようとすると、門に見事な装飾が施されていることに気づきました。
謁見の間での挨拶の仕方を事前に説明されていたにも関わらず、あえてハンに対する礼を欠いたイギリス人使節は、この門を出たところで帰らぬ人になったそうです。
生麦事件からの薩英戦争のような、イギリスとの戦いにはならなかったそうですが、この話はイギリスの教科書に載っているそうです。

ところで…君は誰?

その他、小さな博物館もあり、往時の様子が展示されています。
こちらはウズベキスタンの各地で見かける聖廟の印。
聖人が眠っている場所には、高い木が立てられ、その先に「鈴と馬毛」や「手のモチーフ」が飾られたそうです。

夜はラクダが城壁に登場していました。
ボラハウズ・モスク

アルク城の近くにあるのが、ブハラ・ハン専用のモスクです。

ハチの巣状の彫刻が施されたクルミの柱が20本並んだテラス空間があり、

天井はカラフルに塗りあげられていて美しいです。


モスクは現在も礼拝に使われています。

全景はモスクの前にある池からでないと眺められないぐらい立派です。
シナゴーグ

ご厚意でシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)も見学できることに。



知識不足でダビデの星しか分からなかったけれど(涙)、シナゴーグに足を踏み入れられる機会はなかなかないので、貴重な体験でした。
帰りはお礼の気持ちで寄付を(5,000スムが目安だそうです)。
ブハラのバザールでは民芸品ショッピングも楽しめる

ブハラ旧市街にはタキ(大通りの交差点を丸屋根で覆ったバザール)が3つ並んで残っており、現在はお土産屋さんになっています。

美しい食器類や、

スザニや絨毯のお店、

時には民族舞踊や演奏に出会うこともできます。

またブハラで有名なのがハサミです。
コウノトリをモチーフにしていて、切れ味も良いです。
日本ではコウノトリというと赤ちゃんを運んできてくれる鳥とされていますが、ウズベキスタンでは利益を運んできてくれる鳥とされているそうです。

なお機械ではなく、手作りのハサミを販売しているのは、この看板の店だけだそうです。
各国の観光客が訪れていました。

雄バージョンと雌バージョンとがあり、サイズによって値段も異なります。
切れ味は大きい方がより良かったのですが、手の収まりやすさから、私は小さいサイズ(15ドルもしくは12万スム)を購入しました。

名前を彫ってもらうこともでき(無料)、

ケースも好きな色を選べます。
私はサマルカンドブルーを選んでみました。

機会があれば、操り人形(指人形)のお店も覗いてみてはいかがでしょうか。
歴史があるだけでなく、現在もウズベキスタンの子供達に人気なんだそうです。

音楽に合わせて、人形の首や手を器用に動かし、人形もおじちゃんもリズミカルに踊ります。

自分に似た顔の人形はあるかな?
夜のブハラ観光も楽しい
ウズベキスタンは治安が良く、夜でも子供達が元気に外で遊んでいます。
そしてブハラ旧市街では、ラビハウズと呼ばれる池を中心に、家族連れが多く集まり、夜でも賑わっています。
人々の笑い声、どこからともなく聞こえてくる音楽、そして月に照らされるモスクやメドレセ。
時間があれば、夜のブハラ散策もおすすめです。
ラビハウズ

人々が集まるオアシスの池ラビハウズ。

池の周辺のカフェやレストランでは、家族や友達とわいわい過ごす人々で賑わっています。
そうそう、ブハラに来たら、ニンジンたっぷりが特徴のブハラのピラフを食べてみてください。
美味しいです。
ナディール・ディヴァンベギ・メドレセ


ラビハウズの東側にあるメドレセは、とても珍しい神学校です。

色タイルの鮮やかな絵をよく見てみると、2羽の鳳凰、白い鹿、そして太陽の真ん中になんと顔が描かれているんです!
偶像崇拝を否定するイスラムの教義に反する絵です。
フッジャ・ナスレッディン像

ラビハウズとメドレセの間にある公園の一角で子連れ家族が集まっている場所があり、みなこの像の前で写真を撮りたがっていました。
後から話を聞くと、有名な神学者の像で、ユーモアに富んだ授業で学生達に好かれ、今も人気があるそうです。

街中には、その他、モグラ叩きがあったり(驚)、

子供が車のおもちゃに乗っていたり。

お土産屋さんも元気に営業しています。

アルク城からカラーン・ミナレットが見えます
旧市街はさほど広くなく、徒歩で回れるぐらいですが、モスクに、メドレセに、タキにと、シルクロードの面影を色濃く残していて、楽しい街でした。
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