
こんにちは、SORESEKAこと「それは、世界遺産がきっかけだった。」編集長のMamiです。
この記事ではポルトガルの歴代王妃に愛されてきた美しい町「オビドス」の旅レポをお届けします。
大雨のなか到着した無人駅にて人の優しさに触れたり、ポザーダでの最高の宿泊など、素敵な時間を過ごせました。
オビドスとは
城壁に囲まれたオビドスは小さな町。
町の入り口から最奥の古城まで、目抜き通りを真っ直ぐ歩けば15分ほどで着いてしまいます。
しかし花々が軒先を彩る町並みは「谷間の真珠」と呼ばれるほど、絵本の世界のように可愛らしい町です。
1282年にディニス王が、オビドスを訪れてすっかり魅了された王妃イザベルに町を贈って以降、1834年までポルトガル歴代王妃の直轄地でした。
小さな町なので3時間もあれば十分観光はできますが、とても可愛い町なのと、人気の高いポサーダ・カステロ・オビドスがあるので、時間があるなら滞在されるのがおすすめです。
オビドスへの行き方
オビドス(Obidos)へは電車もしくはバスで行くことができますが、
- 電車の場合は、町外れの無人駅に到着
- バスの場合は、本数が少ない
と、どちらを選択しても少し不便な行き方となります。
ちなみに私はユーレイルパスを利用して鉄道の旅をしていたので、電車で向かいました。
電車でオビドスへ向かう場合

オビドス駅には、城壁に囲まれたオビドスの町並が描かれたアズレージョがあります
私は世界遺産があるコインブラから向かいました。
コインブラからオビドスまでは電車で3時間ほどです。
ちなみにリスボン(セッテ・リオス駅)からオビドスまでは電車で2時間ほどです。

Alfarelos駅
どこから向かおうとも、オビドスまでの直通電車は本数が極端に少ないので、基本的には乗り換えて行くことを念頭に置いてください。
私の場合、コインブラ駅(Coimbra)→Alfarelos→カルダス・ダ・ライーニャ駅(Caldas da Rainha)→オビドス駅(Obidos)という経路でした。

インターレジオナル(IR)は昔の日本の新幹線のようですが、座席指定は不要です。
また土日祝日はオビドスまで向かう電車自体がグッと減りますので、下調べが必須です。
乗り換えや時刻表の検索はポルトガル鉄道のアプリが便利です。

カルダス・ダ・ライーニャ駅
オビドス駅は無人駅なので、一つ手前のカルダス・ダ・ライーニャ駅(Caldas da Rainha)からタクシーを利用する方法もおすすめです。
カルダス・ダ・ライーニャからオビドスまでは、タクシーで約15分、8〜10ユーロほどで着きます。
私はスーツケースがあったのと、大雨だったので、カルダス・ダ・ライーニャ駅からタクシーでオビドスへ向かおうとしたのですが、タクシーを捕まえられず、結局オビドスまで電車で向かいました。

無人のオビドス駅
オビドス駅に着いても雨は止まず、タクシーも捕まえられず。
結局は、ゴロゴロとスーツケースを押しながら山道を登って、オビドスの町へ入りました。
(人の優しさに触れたエピソードは末尾にて)
距離的には15分ほどなので、晴れていればまだ良かったのですが、雨の中の山道は大変でした。
いま考えれば、宿泊先であるオビドスのホテルに電話すれば、タクシーを呼んでもらえたかもしれません。
あと繰り返しになりますが、無人駅なので、コインロッカーや荷物預かり所はありません。

オビドス駅へ向かう途中の、城壁の外に広がる景色
ちなみに翌日は晴天。
帰りは下り坂なので、スーツケースでの移動もラクラクです。
気持ちのいい景色を眺めながら、オビドス駅に戻りました。
バスでオビドスへ向かう場合
リスボンからオビドスまで、バスだと1時間ほどです。
カンポ・グランデ(Campo Grande)のバス乗り場からは、テージョ社のオビドス行きのバスが出ています。
月〜金は毎時1〜3便、土日祝日は毎時1便、7.95ユーロです。
またはセッテ・リオス・バスターミナル(Terminal Rodoviario de Sete-Rios)からカルダス・ダ・ライーニャへ行き(1日16〜19便)、上述のようにタクシーを捕まえるか、ペニシェ行き(Peniche)のバスに乗り換える方法もあります(1日4〜10便)。
バスの場合、オビドスの町の入り口に到着します。
オビドスの観光名所
城壁

町の外からの眺め。城壁に囲まれていることがよく分かります。
オビドスは城壁に囲まれた町で、
城壁に登ることもできます。
城壁に上がれば、城壁の外に広がる町並みもよく見えます。
ただし城壁は数年がかりで修復工事をしているので、時期によっては全ての階段が閉じられたり、登れる階段の場所が変わる可能性があります。
2019年10月は3カ所の階段が開放されており、そのうちの1つは、ちょうど宿泊していたポザーダ・カステロ・オビドスの裏手だったので、観光客が少ない朝に登ることもできました。
最新情報は、観光案内所やホテルスタッフに確認してください。
ポルタ・ダ・ヴィラ
町の入り口には、イスラム時代に造られたオビドスのメインゲートがあります。
敵の侵入を防ぐため、2重のジクザク構造になっており、通路の内側は18世紀のアズレージョで覆われています。

修復中のポルタ・ダ・ヴィラ
しかし私が訪れた2019年10月は修復中で、そのアズレージョを見ることはできませんでした。
サンタマリア教会とサンタマリア広場
サンタマリア教会は、1444年に10歳のアフォンソ5世が、わずか8歳のいとこイザベラと結婚式を挙げた教会です。
内部の壁は、全面が17世紀の美しいアズレージョで覆われています。
教会の前のサンタマリア広場には、罪人をみせしめの為に吊り下げたペロリーニョが建っています。
そんな広場では、当日、ブックフェスティバルが開催されていました。

ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアの本かな
有名なイベントらしいです。
水道橋
ポルタ・ダ・ヴィラから町の外に出ると、水道橋がすーっと延びているのが見えます。
観光客がほとんどいないので、静かに歴史ロマンに浸れます。
やっぱり可愛い町並みが見所
オビドスの見所は、やはり何と言っても可愛い町並みです。
小さな町なので、目抜き通りだけでなく、裏道もぶらぶら散策してみると楽しいです。
オビドスのおすすめレストラン3選

Tasca Tortaにて
オビドスには小さなレストランが沢山ありますが、ここでは宿泊したポザーダ・カステロ・オビドスのスタッフさんがおすすめしてくれた、3つのレストランをご紹介します。
- Aleaide(お手頃)
- Tasca Torta(お手頃)
- Comendador Silva(高級)
1と2は目抜き通り(ディレイタ通り)にあり、向かい合っています。
私はTasca Torta(タスカ・トルタ)にて、鮭とほうれん草のラザニアを注文しました。
とても美味しかったのですが、具沢山で、かなりお腹が膨れました。
日中は観光客でどこのレストランも混雑しているため、少し時間をずらすとスムーズに入店できます。
オビドス名物「ジンジャ」
オビドスの名物といえば、サクランボを漬け込んだお酒「ジンジャ(Ginja)」です。
私はアルコールが飲めませんが、ワインより少し高めの度数とのこと。
1杯1ユーロほどで、チョコレートのカップに入れてジンジャを飲ませてくれるお店が沢山あるので、果実酒がお好きな方は飲んでみてください。
オビドスに滞在するなら「ポザーダ・カステロ・オビドス」
オビドスで滞在するなら、5つ星の古城ホテル「ポザーダ・カステロ・オビドス」一択です。
ポルトガル全土に32軒あるポザーダの中でも、特にオビドスのポザーダは評判がいいからです。
詳しくはポザーダ・カステロ・オビドスの宿泊レポにまとめていますが、実際、サービスも、室内も、レストランも、眺望も最高でした!
そして宿泊客だからこそ、オビドスの夜景を楽しんだり、
観光客の少ない朝に、可愛らしいオビドスの町を独占できます。
ポルトガル独特のホテル「ポザーダ」は手頃な料金で優雅な雰囲気が味わえると旅行者に評判なこと、そしてオビドスのポザーダは人気が高いことから、早めの予約がおすすめです。

オビドスでの個人的な思い出
ありがとう、バーバラ!
大雨の中、無人のオビドス駅に到着。
町中までは、距離的には遠くはないけれど、入り口は山の上。
タクシー(車)で移動しようと思っていたのに、なぜかUberが上手く動作せず、どうしようかと悩んでいたところ、駅のドアに、4人の名前とそれぞれの携帯電話番号が記された貼り紙を発見。
きっと個人タクシーの連絡先だろうと思ったけれど、ポルトガル語が読めないので、万が一、タクシー以外の連絡先だったらどうしよう。
こんな風に困っていたら、同じ電車から降りてきた唯一の乗客も、スマートフォンをいじりながら駅で雨宿りしていることに気づく。
畑のど真ん中の無人駅で頼れるのは、もう彼女だけ。

すみません、少し助けてもらえますか?

どうしたの?

この貼り紙は、タクシーの連絡先ですか?

そうみたいね。

すみませんが、私の代わりにタクシーを呼んでもらえませんか?

もちろん、いいわよ。
彼女は快諾してくれ、運転手さんたちに電話をしてくれました。
しかし残念ながら、どのタクシーも遠くまで出払っていて、30分以内に来れるタクシーはないとのこと。
すると彼女は

グーグルマップでみると、あなたのホテルは近いじゃない。一緒にスーツケースを運んであげるわ。

え?!でも坂道だし、この大雨だから悪いよ。

平気よ。
と大雨の中を踏み出してくれました。
電話をかけてくれるだけでなく、大雨の中、スーツケースを運んでくれるとは、なんて親切な人!
彼女の名前はバーバラ。
ブラジルから仕事でポルトガルに来ていて、今はポルトに住んでいること。
今日はオビドスのブックフェスティバルに遊びにきたこと。
こんな風に自己紹介をしながら、彼女は傘を持っていなかったので、私の小さな折り畳み傘を相合傘しながら、凸凹石畳の山道を登っていきました。
結局2人とも城壁内に入る頃にはずぶ濡れになっていましたが、なんとかホテルに到着。
せめてものお礼にと、

カフェで温かい飲み物でもどうですか?ぜひお礼をさせてください。

大丈夫よ。私も自分のホテルを探さないと。
そう言って、颯爽と去っていきました。
後ろ姿を見送りながら、何度「ありがとう!」「オブリガーダ!」と叫んだことか。
体は雨で冷え切っていたのに、心はぽかぽか。
ホテルで休憩した後、町へ繰り出し、ブックフェスティバルの会場をのぞくも、バーバラは見つけられず。
もう一度きちんとお礼を言いたかったなと心残りがあったのですが…、
翌日、オビドス駅で奇跡的に再会しました!
もう嬉しくて、お互いにハグしながら、再会の写真をパチリ。
そしてポルトに戻るバーバーラを見送って、私は次の街、リスボンへ向かいました。
人の優しさに触れるたび、私もそんな人でありたいと己を省みつつ、温かい思い出ができました。
王妃の愛した町オビドス。
また訪れたいです。




